「男はつらいよ」 第45作 寅次郎の青春 山田洋次監督
「男はつらいよ」 第45作 寅次郎の青春
山田洋次(監督) 渥美清(出演), 後藤久美子(出演), 1992/12 松竹 DVD 101分 No.3528★★★★★
1)ゴクミ・シリーズ。名古屋の高校を卒業したゴクミは東京のレコード店に就職する。結局はやめてしまうのだが、社会人として化粧した彼女はますます美しい。若い。
2)旅先で偶然、寅やゴクミや、ミツオなどが出会うというのは、あまりにリアリティがなさすぎて、作りすぎな感じがあるが、そもそもこの寅シリーズは喜劇なのだから、シリアスなリアリティにこだわることもあるまい。
3)しかしながら、ゴクミとミツオが展開する恋愛劇は、なかなかシリアスで、リアルだ。もう寅は主役を奪われて、脇役に収まっている。
4)いやいや、ひょっとすると、寅自信がガンで、体調不良だったのかもしれない。その不調を押して、寅シリーズという作品を成立させるために、最小限の出演に抑えられていたのかもしれない。
5)1992/12。あのころ、私はどうだったのだろう。「スピリット・オブ・プレイス」も終わり、さて仕事にせいだそうという時期ではあったが、すでにバブル崩壊の影響は、社会各層に大きくなっていて、私の仕事など、風前のともしびだった。
6)法人化して船出したばかりの営業職は、新たな分野を加えたものの、まだまだ準備段階で、生活の柱になるようなものではなかった。私もまだまだ30代後半、何事かのことができるはずではあったが、あせりばかりが目につく日々だった。
7)寅シリーズもあと数作。今回の再視聴は、手あたり次第、第47作からスタートしたのだったが、まもなく、一つの円環を迎えることになる。
8)最後に来て、ゴクミとミツオの展開が、グッとシリーズを引き締めている。年一回ということで、スタッフの加齢も目につく。タコも痩せた。そう言えば帝釈天の御前様も、たしか、この作品が最後になるのだった。
9)ここまで見てきて、たしかに中ごろにマンネリはあったが、なかなかどうして、これは素晴らしい円環しているシリーズだ。
10)今回、こうして全48作を見通すことになるわけだが、おそらく、そう遠くない時期に、またふたたび、これらの前48作を見る機会がくるのではないかな。そういう予感がする。
11)ますます寅が好きになった。
| 固定リンク
「18)Zorba The Buddha」カテゴリの記事
- 「寅さんの伝言」 朝日新聞版 小泉信一(2015.06.01)
- 「山田洋次と寅さんの世界」 困難な時代を見すえた希望の映画論 吉村英夫(2015.06.01)
- 「寅さん、あなたが愛される理由」山田洋次 映画監督50周年記念企画 山本晋也他(2015.05.29)
- 「市民農園体験記」<18>花とつぼみ(2015.05.28)
- 「市民農園体験記」<17>ネットとズッキーニ(2015.05.26)
コメント