「男はつらいよ」第26作 寅次郎かもめ歌 山田洋次監督
「男はつらいよ」第26作 寅次郎かもめ歌
山田洋次(監督) 渥美清(出演), 伊藤蘭(出演), 1980/12 松竹 DVD 98 分
No.3506★★★★★
1)全体としては割と小粒な作品だが、とてもいいと思うなぁ。伊藤蘭がいいね。いつだったかな。我が身が印刷会社の職工の時に、マジメに働いていたせいか、近所の小父さんが、自分の醤油製造工場で働いている若い職員さんの仲人話をもってきてくれたことがある。殺し文句は、その娘さんはとてもやさしくて、伊藤蘭に似ている、というものだった。
2)あの時、小父さんが紹介してくれた、伊藤蘭似の女性は今どうなっているのかな。きっと幸せな人生を送ったことだろうな。当時の状況から考えるに、おそらく彼女も還暦真近。私の人生とはまったくクロスしなかったけど、こうして話題として残るだけ、何かの縁があったのだろう。
3)伊藤蘭が北海道の奥尻から上京して東京のセブンイレブンでアルバイトするのは1980年のことだ。地方ではまだまだコンビニなんてなかった。東京でさえ、きっとハイカラな先端的なアルバイトだったはず。
4)私は訳あって、一ケ月だけコンビニの深夜アルバイトをしたことがある。でもそれは1987年になってから。もともと水商売(コンビニも私から見ればそう見える)が苦手な私にも、当時のコンビニの上昇気流は気になってしかたなかった。だから、いろいろリサーチも兼ねてバイトしてみたんだよね。
5)だけどさ、伊藤蘭が高校一年中退で、中学二年程度の学力しかないからって、「葛飾区」とか「帝釈天」が読めないなんて、けなしてはいけない。こんな字、大卒だって読めない奴が沢山いるはずだ。みんな、「かつしかく」とか、「たいしゃくてん」なんてホントに読める? 中学校三年中退の寅がこの字を読めるのは、自分が葛飾の帝釈天の門前で生まれたからに過ぎない。んなこと、どうでもいいだがな。
6)長い人生において、基本的に長期低迷期にある我が人生において、こうして寅と遊べることは幸せだ。人生を重荷と感じたり、もうどうでもいいや、という投げやりな気分になってしまった時、寅と一緒にいると、なんだか涙目にはなってしまうが、いやぁ、なんとかやれるはずだよなぁ、なんとか明日になったら、元気だそう、ってそう思うよ。
7)おれは好きだな、寅さん。
8)そうそう、この1980/12という時期は、我が人生、絶不調な年回りだった。余命半年と宣言され、公立がんセンターでベットの人となって、人生のどん底を味わっている時期であった。これから始まる6ヵ月の闘病生活。
9)このタイミング、1980/12/08にジョン・レノンは、凶弾に倒れたのだった。アーメン。冥福を祈ります。
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