「寅さんの伝言」 朝日新聞版 小泉信一
「寅さんの伝言」朝日新聞版
小泉 信一(著) 2013/06 講談社 単行本(ソフトカバー): 224ページ
No.3535★★★★★
1)お互いに「戦友」として車寅次郎という人物を作りあげてきた。渥美の急逝せ48作で幕を閉じたが、山田監督はあと2作は作りたいと考えていた。
49作目で満男(吉岡秀隆)と泉(後藤久美子)が結婚。50作目で寅さんは幼稚園の用務員のような仕事をしており、園長役のマドンナには黒柳徹子が有力だった。p180「山田洋次監督」独楽と独楽がぶつかって勢いよく回り始めた
2)この本も3・11以後になって、なおも寅さんカムバックの一冊である。決してセンチメンタリズムにもノスタルジアにも耽っていない。
3)共演者やスタッフが中心になっているインタビュー記事がランダムに繋がっている。決してまとまりがいいわけではないが、寅という人物が、虚実を含めて、多方面から語られる。
4)3・11後に、宮沢賢治がよく語られた。よき日本的風景として、未来への希望として、はかない永遠の夢として。そして、いままで気付かなかったのだが、そのような賢治に託したような役割を、寅にも演じさせようとしていた人々がいたのだった。
5)私はそれに賛成する。というのも、結局私も手探りで3・11後の寅に会わざるを得なかったからである。
6)いみじくも、全48作目の最期のシーンは、阪神淡路大震災の跡地に踊る在日グループの円陣であった。それを意味するところは、未だに私はよくわからないが、いずれにせよ、3・11に繋がる風景ではある。
7)演じた渥美清のことを山田監督は「地球上に根っこをはやしていない宇宙人ではないか」と感じた。何もしないでそこにいるだけで笑わせてくれる。
「いまもどこかにいるような気がするのです。
渥美を主人公にした宇宙人の話を作りたかった。216p 「山田洋次監督」物欲を派や親の胎内に忘れてきてしまった人間
8)当ブログにおける寅おっかけと山田監督追っかけはまだまだ続くだろう。だが、今回のカテゴリ「Zorba the Bhddha」としての寅全48作整理は、とりあえず、ここで中締めとしておく。
9)いずれかにおいて、再燃するだろう。
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