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2015/06/19

「農家と市民でつくる新しい市民農園」―法的手続き不要の「入園利用方式」 廻谷義治

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「農家と市民でつくる新しい市民農園」―法的手続き不要の「入園利用方式」 
廻谷 義治(著) 2008/06 農山漁村文化協会 単行本: 153ページ
No.3536★★★★★

1)この本も面白かった。私はほんの数ヵ月前に市民農園と出会ったビギナー・ユーザーであるが、この本は、むしろ、すでに農地を相続して農業を営業している農家が、はてさて市民農園でもやろうか、という時に読む本である。

2)書いているのは農園主と市民ユーザーのちょうど中間にあたる元担当公務員。どちらの立場についても精通している方である。とくに農家側にとって、市民農園を経営するとはどういうことなのかを、収支、税制、法制、相続、運営などに渡って、詳しく書いてある。

3)市民農園の一区画はわずか10坪足らずの空間がほとんどですが、人々は自分流に作物を栽培し、収穫したものを食べて楽しみます。始めはまわりの人に聞いたり園芸書を読んだり、講習を受けたりしながら、耕し、肥料を施し、種をまいたり苗を植えたりして育てます。p14「市民農園は農的暮らしのおすそわけ」

4)私はわずか5坪から始めたばかりの超ビギナーだが、「もっと上手に市民農園」4.5坪・45品目 小さな畑をフル活用 (斎藤進2012/3 農山漁村文化協会)という本を見つけて、悦に入っていた。ところがいざ初めてみたら、わずか5坪はあっという間に一杯になってしまった。立体的に密埴する計画ではあるが、どうも、作業する上でも、この著者よりは体が大きいようで、もうすこし面積があってもいいなぁ、と思っていた。

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5)ところがどっこい、となりのユーザーが、都合により今年はやりませんと、土地を利用期間中途で返還してきたという。あらら、これは天の配剤か。ここは、ちょうど利用エリア拡大のチャンスではある。だがしかし、それだけ利用料も倍になる。経費としては一体どんなもんだろう。

6)市民農園の一区画は、平均的には30㎡(5m*6m)程度の広さです。この狭い空間を十分に楽しむために、いろいろと工夫します。p126「狭い区画を有効利用するには工夫が必要)

7)だろうなぁ。やはり10坪程度は必要なのだ。

8)最近の利用料は地域や形態などで多様化し、日常型(都市型)の市民農園では平均が500円前後となっています。p80「萩台市民農園の利用料」

9)この計算でいくと、我が農園はやや4割ほど高めである。小遣いを十分貰っていない立場としては、ここがなかなか痛いのであるが、他の要素を考えてみると、妥当な料金であるようにも思う。自転車で10数分で通える距離。トイレや水道、農機具小屋やゴミ捨て場、駐車場、などなど、設備は整っている。

10)水の確保は市民農園施設の中ではもっとも費用がかかるものです。市民農園の開設場所が開設農家の屋敷に隣接していれば、農家の家庭用の水を使うこともできますが、一般には、農園の近くまで上水道の配管が来ていればそれを利用するか、井戸を掘ることになります。p77「どんな設備(付帯施設)が必要? 水道や井戸

11)なるほど、そうであったか。園主が「野菜は水まきしなくても成長しますよ」と強調していたのは、そういう理由もあったのだ。これからも有難く使わせてもらうが、あまり無駄に水を使ってはいけないんだな。

12)農的ライフを楽しみ、食育の場でもある市民農園では、まず基本的に農薬は使わないほうがよいでしょう。風通しを良くし、窒素過多にしない、土づくりをして丈夫な野菜をつくる、輪作を行なう、コンパニオンプランツ(共生作物)を活用するなど、栽培の工夫で病害虫の被害を最小限にとどめます。少々の害虫や病気は手でとることで被害を少なくできます。p132「農薬を使うときは細心の注意を」

13)なるほど、これで我が市民農園が「無農薬」を標榜していることが理解できた。というか、有難い設定である。私は大賛成。

14)「滞在型市民農園」
 これは農村地域から中山間地域にある”泊まれる”小屋を持った区画の大きな市民農園です。各区画には、日常型よりも広めの農地(40~300㎡程度)と電気、水道、宿泊設備の整った小屋が完備されていて、利用者が一年に数回訪れ、一回に数日間滞在して利用しています。その利用の姿を一般の人が見て「農村型貸別荘」と呼んだりします。

 利用料は年に25万~45万円程度で、利用者にしてみれば、別荘を買うより安く権利を手にいれることができ、気の向いたときに訪れえ田舎暮らしができる便利なものです。この施設は、農村地域や中山間地域の活性化や都市と農村の交流を促進するためにそれぞれの市町村が開設しているものです。p38「滞在型市民農園」

15)なるほど、こういうシステムもあったのか。エコビレッジなどという標語のなかで、人知れず私が夢見ていたのはこういうシステムだったのかもしれない。こういうシステムが県内にもあるか調べてみると、あった。「滞在型市民農園(クラインガルテン)とは」(宮城県丸森町)

16)さっそく聞いてみると、150㎡の畑と3LDK(二階ロフト)になっていて、月二回程度滞在して農地を作ることが条件だという。一年更新契約で月3万円だとか。電気代、光熱費は、別途自分持ち)。なるほどこれもいいなぁ。簡単な農機具は自分持ちだが、動力で動く管理機などは貸し出してくれるという。

17)ちなみに、丸森町は福島との県境にあるが、畑に関しては影響は一切ないとのこと。私個人は、魅力あるシステムだと思うが、実は、この近くに身内の農家があり、もしこれだけの経費をかけるなら、その空き農地を利用させてもらい、その一角に小屋でも立てたほうが、より現実的だと思ったりするのだった。

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