プレムバヴェシュの孫たちとの対話 <52>秘密基地
「プレムバヴェシュの孫たちとの対話」
<52>秘密基地
「ねぇ、おじいちゃん」
と、事務所に入るなり、3歳児が、1歳児の弟を連れて、小声になって話しかけてくる。ちびっ子ギャングの来襲である。
「なぁに・・?」
こちらは、ガレージ・オフィスで仕事中だ。それほど神経を使うほどの仕事でもないが、気が散れば、かなり遠回りのミスを犯しかねない仕事でもある。できれば神経を集中したい。
「あのサ、ここ、ヒミツキチにしない・・?」
なになに? もともとの事務所だった部屋を子供たちのために明け渡して、ぶつかっても転んでも安全なキッズ・ルームを作ってあげたではないか。そのために、私は事務所を追われ、もともとガレージだったところを自分で改造して事務所にしたのである。ここからまた追い出されてしまうのだろうか?
「おかあさんにはナイショね」うん? どういうこと?
「おかあさんを、びっくりさせてやろうよ!」
まぁ、その申し出を受け付けないまでも、私のオフィスはもうすでに私の秘密基地なのだ。いまさら、という気がしないでもない。だが、いや実に、3歳児の口から、秘密基地、という言葉がでたのには、いや、驚いた。
そして、どこかで、そのニュアンスを孫は孫なりに感じ取っているのだろう。ここは、じいさんと孫たちの秘密基地か、それも悪くないな。
とにかく、毎日のように、孫たちの来襲はつづく。大体は15分くらいで終わるのだが、引き出しを開けるやら、印鑑類をあちこちペタペタするやら、置物の類は、あちこちに投げ出すやらで、もう大変である。
最近は、もう耐性ができていて、いちいち注意はしないことにしている。まぁ、壊れてもいいようなものだけを置いてあり、大事なものは手の届かないところにしまってある。シュレッダーのような危険なものは安全装置がついたものを用意しているし、大体電源を抜いているから動かない。
でも、それでも安心できない。とがったものやら、なくしてはいけないものなど、事務所には、結構あるものである。それに子供たちの手の動きは早い。あっという間に、ヘンテコなところに指をかけている。特に、電源やコード類のあたりは、危険きわまりない。
もともと、子供だけで遊ばせるわけでもないので、大人がついていれば、まぁ、基本的には安心だろう。
日々成長していく彼らの体と心と精神の変化は著しい。その分、こちらの目は悪くなる、歯は抜けてくる、腰は痛くなる、という逆比例が続く。
じいさんと、孫たちの営みが毎日展開していくのである。
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