「ネグリ、日本と向き合う」アントニオ・ネグリ他<6>
<5>からつづく
「ネグリ、日本と向き合う」<6>
アントニオ・ネグリ(著), 市田 良彦(著), 伊藤 守(著), 上野 千鶴子(著), 大澤 真幸(著), 4その他 2014/03新書 NHK出版 新書 240ページ 目次
★★★★★
序 アントニオ・ネグリの現在 伊藤守
さて、伊藤守という人はどんな人だろう。
1954年生まれ。早稲田大学教育・総合科学学術院教授。専攻は社会学、メディア・文化研究。著書「記憶・暴力・システム---メディア文化の政治学」(法政大学出版局)、「情動の権力---メディアと共振する身体」(せりか書房)、「ドキュメント テレビは原発事故をどう伝えたのか」(平凡社新書)他。p236「訳者略歴」
1954年生まれと言えば、私と同年輩。おそらく70年安保的状況にはやや遅れてきた青年ではあるが、リアルタイムで記憶が残っているはず。残念ながら当ブログでは彼の著書には以前に触れたことはない。この際だから、紹介されている3冊程度は目を通して置くのが礼儀だろう。
と思い、図書館を検索してみたら、上の3冊のうち在庫は一冊のみ。ただし、他にも多数著書は収蔵されているので、関連で近著を数冊程度見ることはプラスになるだろう。
ネグリとの対話へ
2013年4月、アントニオ・ネグリがようやく日本の地に立つことができた。来日の目的は、シンポジウムそして講演会といううふたつのプログラムに出席することであった。
日本学術会議社会学委員会メディア・文化研究分科会と国際文化会館が共催した4月6日のシンポジウム「マルチチュードと権力:3・11以降の世界」、さらに4月12日の国際文化会館主催による講演「日本におけるアントニオ・ネグリとの対話」この二つのプログラムである。 p9「ネグリとの対話へ」
たしかこの来日の際のドキュメントが雑誌に掲載されていた。「現代思想」( 2013年7月号 特集=ネグリ+ハート 〈帝国〉・マルチチュード・コモンウェルス)。こちらも、再読してみる価値がありそうだ。合わせて読んでみよう。
そも、日本学術会議 とはなにか。HPには「日本学術会議は、わが国の人文・社会科学、自然科学全分野の科学者の意見をまとめ、国内外に対して発信する日本の代表機関です。」とあるから、かなり公的な機関だと思われる。
日本学術会議は、科学が文化国家の基礎であるという確信の下、行政、産業及び国民生活に科学を反映、浸透させることを目的として、昭和24年(1949年)1月、内閣総理大臣の所轄の下、政府から独立して職務を行う「特別の機関」として設立されました。HPより
ということだから、格式も歴史もありそうだ。
では、国際文化会館とは何か?
公益財団法人国際文化会館は、日本と世界の人々の間の文化交流と知的協力を通じて国際相互理解の増進をはかることを目的に、1952年にロックフェラー財団をはじめとする内外の諸団体や個人からの支援により設立された非営利の民間団体です。HPより
ロックフェラー財団という名前は気にならないわけではないが、ここは軽くスル―しよう。少なくとも、ネグリは、この段においては、政財界から厚く丁重な招きがあって来日した、ということになろう。4月6日から12日の間までには、かなりの余裕があったわけだから、おそらく要人なり個人なりとのそれなりの対面があったと想像される。施設や機関などにも訪問したかもしれない。
2008年の3月、(中略) 事実上の、日本政府による入国拒否と判断できる不当な対応であった。p10「序 アントニオ・ネグリの現在」
あの時の政権は、2009年の9月に始まる民主党政権の前の段階であった。
それらの論考から、私たちは、ネグリがいかに日本と向き合ったか、いま日本とどう向き合っているのか、ネグリの思索を深く知ることができるであろう。p10 同上
さていよいよ、ネグリに向き合おうとしているのは、当ブログである。こちらの思索もまた問われることになる。
| 固定リンク
「16)ボタニカル・スピリチュアリティ」カテゴリの記事
- 「藤森照信×伊東豊雄の住宅セレクション30」(vol.1) <2>(2015.10.31)
- 「ボタニカル・ライフ―植物生活」 いとう せいこう<2>(2015.10.31)
- 「地球の家を保つには エコロジーと精神革命」 ゲーリー・スナイダー<5>(2015.10.31)
- Architecture. Possible Here? "Home-for-All" Toyo Ito(2015.10.29)
- 「わがボタニカルライフ」<21>悠久の時を継ぐ(2015.10.30)
コメント