« 「20 DAYS AFTER 」半田 也寸志(写真)<1> | トップページ | 「あの日からの建築」 伊東豊雄 <1> »

2015/10/22

「Pen(ペン) 」2015年 11/1 号 [理想の家グランプリ]

81wt51dnvl_2

Pen(ペン) 」2015年 11/1 号 [理想の家グランプリ]
CCCメディアハウス 2015/10 雑誌 月2回刊版
No.3590★★★★☆

 「Pen」はなかなか気になる雑誌である。毎号毎号テーマは違うが、どこか一貫した矜持というものがある。カラー写真が多く外人モデルを活用したおしゃれなページが多い。特にインテリアやハウジングなどの特集も多く、私はそれらに目がいく。

 今回もタブレットの無料アプリでこの号の何ページかが気になり、さっそく近くの書店で購入した。なにが一番気になったかと言えば、やっぱりこの[理想の家グランプリ]とやらのコンテストでグランプリを受賞した住まいが、わが市内にあるお宅だったことである。

 この表紙にあるお宅がその作品である。中には6ページに渡って、その素敵なお住まいが紹介されていて、おお、いいなぁ、と思った。特に、奥さんのお祖父さんが使っていたという古い足踏みミシンが置かれているあたりが、なにかとてもなつかしくなった。

 さてと、この号に対する讃辞はこのくらいにして、結論からいえば、私はおそらくこの本を「永久保存」はしないのではないか、という直観があった。というのも、何回も開いてヨダレを垂らすようなページはなかった、からである。

 この雑誌に収めきれなかった参加作品の300のお住まいの他の情報については、オンラインで見ることができるようだが、私はどうも、そこまで追っかけはしないような気がする。

 このお宅、同じ市内にある建築物だから、検索すればおそらく一度くらいは外から眺めることはできるだろうが、見たら見たで、また感想は大きく違ってくるだろう。だが、他の人にとっての「理想の住まい」は、必ずしも、自分の「理想の住まい」とは限らないな、と思った。当たり前のことだが。

 まず、この家、同じ市内だが北部の丘陵地にある。私は市内南部の平坦地である。まずここに違いがある。そして、このお宅にはどうも子供の気配がない。お二人のお住まいなのかもしれない。二人の小さな孫と暮らす二世帯住まいの我が家には、当然、ピッタリとは言いにくい。

 それに、結果的にはエリアの問題がある。広い土地を求められるエリアと、狭くても交通の便を確保しようというエリアでは、おのずと基本の設計が違ってくる。

 そして一番の「違和感」というか、はてはて、それでどうした、と思ったのは、傍らに「タイニーハウス」ムーブメントがあるからである。3・11後の世界の動きの中で、エコで小さくて、地球に負荷がなく、時にはDIYで作れそうな小さな家が「はやって」いるのである。

 私は、「理想の家グランプリ」にも、「タイニーハウス」にも、両方惹かれるが、結果的には、人生の中で何度も何度も家を建てられるほどの蓄財がある人間でもないので、今の住まいが一番いいなぁ、ということになる。タイニーかつ理想を、今の住まいに、どうとりいれようか、という、そういう視点で、どうしてもこういう作品群をみてしまうのだった。

 そして、このお宅にしても、我が家にしても、決して沿岸部にあるわけではない。沿岸部にあるあの3・11のあとの爪痕のことを考える時に、この雑誌に取り上げられている他の住宅などのゴージャスさを見るにつけ、なにか、ポイントが離れている気がしてしまう。

 いやいや、そういうタイミングだからこそ、理想の家、なのかもしれないが、今日のところは、まず、そのように感じたのだった。今後、この私の感想がどのように変化していくのか、もうすこし注視してみよう。

|

« 「20 DAYS AFTER 」半田 也寸志(写真)<1> | トップページ | 「あの日からの建築」 伊東豊雄 <1> »

16)ボタニカル・スピリチュアリティ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「Pen(ペン) 」2015年 11/1 号 [理想の家グランプリ]:

« 「20 DAYS AFTER 」半田 也寸志(写真)<1> | トップページ | 「あの日からの建築」 伊東豊雄 <1> »