「世界共和国へ」―資本=ネーション=国家を超えて 柄谷行人<5>
<4>からつづく
「世界共和国へ」 ー資本本=ネーション=国家を超えて <5>
柄谷行人(著) 2006/04 岩波書店 新書: 228ページ
★★★☆☆
「ネグリ、日本と向き合う」と出会い、精読に入ったところで、そもそものマルチチュードとの出会いであったこの柄谷行人の本に舞い戻ってきた。全頁読みなおそうかなと思ったが、そもそもの最初の印象というものはかなり固定的なものである。
この本もメモするのが5回目となると、これまで書いてきたことで大体足りているのだった。図書館から借りてきた本には帯はなかったが、石川裕人(ニュートン)蔵書市で求めた手元の一冊には帯が付いている。
「私たちの進む道はここにある! 21世紀を変える衝撃の社会構想」
本書で柄谷はネグリ&ハートを批判的に取り上げており、我田引水的に引用を繰り返すが、シロートの私が見る限り、世界的には、柄谷の「世界共和国」論よりは、ネグリ&ハートの「コモン」のほうが、有名で、物議をかもしだしている。
はてさて、わが友ニュートンは、この本の前に「<帝国>」や「マルチチュード」を購入しているのであり、逆に言えば、ニュートンが依拠いた一ヶ月あとに出版された「コモンウェルス」であってみれば、ニュートンは<帝国>三部作の完結を見ないで逝ってしまったことになる。
されど、3・11を世界同時体験として、ネグリとともに「世界が日本のことを考えている」(2012/03) を生前読んでいた可能性はある。そして、「ネグリ、日本と向き合う」(2014/03)が出たことを知ったら、彼は確実にこの本を、まずは購入したであろう。
読書好きだった彼に対し、私はあまり本を読まない方だったが、残された現在、彼の分まで読みとおさなければいけないかな、という覚悟のようなものがある。彼の視点から、彼が読んだらどうなるか。どのような反応を示したか。どのように彼の演劇活動に作用しただろうか。
もうすでに10年前の本である。柄谷についてもアップデイトで追っかける必要を感じるが、今の私は手一杯で、とてもそちらには進めない。今回、5読して(ごく部分的でしかないが)、まずはそう感じたことをメモしておく。
| 固定リンク
「15)ねぇ、ムーミン」カテゴリの記事
- 「瞑想―祝祭の芸術」 Osho<4>(2015.12.31)
- 「ムーミン谷の彗星」 トーベ・ヤンソン原作 斎藤博監督(2015.12.31)
- Comet in Moominland (The Moomins #2)(2015.12.31)
- 「ムーミン谷の彗星」 新装版 トーベ・ヤンソン<1>(2015.12.31)
- 「死について41の答え」 OSHO 伊藤アジータ<4>(2015.12.31)
コメント