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2015/11/14

「自己流園芸ベランダ派」 いとう せいこう

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「自己流園芸ベランダ派」
いとう せいこう (著) 2006/09 毎日新聞社 単行本 214 ページ
No.3606★★★★☆

 2004/04~2006/03まで「朝日新聞」に連載された記事に、語り下ろしの対談がついて一冊の本になっている。「ボタニカル・ライフ―植物生活」1999/03 紀伊国屋書店)と並んで、NHKBSテレビ番組「植物男子ベランダー」(2015/03~10)の原作とされているもの。ひとつひとつのエピソードはやや歴史を感じるものの、なるほど、この原作があったればこそ、あのテレビ番組だったのか、と納得するところが多々ある。

 例えば、「植物男子ベランダー」シーズン2の第9話「俺の伯父さん」にでてくる月下美人の話などは、p58「月下美人--大切な一夜の花」などを読むかぎり、かなりの実話が下敷きになっているようである。

 わが家にも二階のベランダはあるが、洗濯物干し場になっていて、植物はサボテン類が少しあるだけだ。実際には、我が家は大都会にあるわけじゃないので、ほんの小さな庭がある。そこには鉢物類が、奥様の手入れによって、ほどよく成長している。

 しかしながら、それでは私の入り込むスキがないので、自転車で10分のところに5坪ほどの市民農園の畑を借りて、半年ほど前から、土づくり、肥料作り、そして初歩的な野菜作りを始めたばかりである。

 そしてあろうことか、クラインガルテンと銘打って、車で片道小一時間のところに50坪ほどの畑を借りて週一通い始めてさえいるのである。もしこれがうまくいけば500坪ほどの農場を借りて、本格的に展開することも、夢ではない。

 夢ではないが、そこまで到達するにはハードルがいろいろとある。時間、技術、資本、販路(というか貰い手)などなど、考えると、そう簡単に拡大出来そうにない。しかし、そこんとこを考えると、なかなか楽しい。

 著者は、自己流園芸ベランダ派などと、かなり謙遜しているが、相当のキャリアで、なおかつ入れ込みが激しい。これは、都会派ながら家庭環境の影響もそうとうあるのだろう。伯父さんと母親とか、なるほど、という形で著者に影響を与えている。

 著者と私の指向性の違いで言えば、彼は植物や花などを育てるのを愛しているが、私は野菜をつくりたいのである。グリーンを見たり、花をみたりすることは二の次なのだ。

 しかし、事実としては、私の畑の野菜たちは、私にグリーンを見せたり、花を咲かせて見せたりするが、期待通りの野菜にはなってくれないのだ。これには参った。基礎から、ひとつひとつ勉強だなぁ。

 というか、花だって、それを目的に市民農園を活用している人もいるわけで、私もそのうち、花つくりに挑戦してみようかな、なんて思わせてくれる一冊である。

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