「風立ちぬ」 徳間アニメ絵本33 宮崎駿
「風立ちぬ」 徳間アニメ絵本33
宮崎駿(著) 2013/08 徳間書店 ハードカバー: 172ページ
No.3602★★★★☆
アントニオ・ネグリが絶賛した宮崎駿の「風立ちぬ」、そのストーリー展開を忠実に再現した絵本である。映画の余韻に浸りたい人、動画を見る環境がない人、子供に読んで聞かせたい人、そんな人たちが見るには丁度いいだろう。
しかし、この映画の主題は、男であるし、時には青年男女の恋愛であるし、リアルな人生模様であるし、戦争であるし、技術屋の話である。子供向けのシーンはほとんど描かれていない、との評判である。
「どこと戦争するのかな。」
「中国、ソ連、イギリス、オランダ、アメリカ。」
「ハレツだな。」
「おれたちは武器商人じゃない。いい飛行機をつくりたいだけだ。」
「そうだな。」
いまはただ、美しい飛行機を完成させるだけです。二郎は、ひたすら仕事に打ち込みました。p155
戦争以前、80年前、90年前の実話と小説や詩にストーリーを借りているフィクションである。そこに描かれている物語アニメをどう解釈するのかは、見る人次第である。また、どう見せたかったのかも興味はある。しかし、そこで問われるべきは、今日であり、私、わたしたちひとりひとりである。
問題提起した形になったアニメ映画に対してネグリは、宮崎駿がわたしたちに教えているように、飛行機は戦争のためではなく平和のためにつくられなければならない。(「ネグリ、日本と向き合う」p182 「原子力国家の支配に対する抵抗」)と受け取る。
そう受け取られることを宮崎は拒否はしないだろう。しかし、そうです、とは答えない筈だ。それでは、当ブログはこのアニメをどう見るだろう。これだけの大量なエネルギーを使って、人は、人々は何をしようとしているのか。
結論としては、このアニメが日本とイタリア、宮崎とネグリをつなぎ、少なくとも聴衆としての当ブログを巻き込んだ。そういう意味では、ひとつのきっかけになり、話題になり、共通のコモン・グランドへの道筋のひとつになってくれるかもしれない。そういう期待を持たせてくれた、ということにしておく。
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