NHK 100分 de 名著 サルトル『実存主義とは何か』<2>
サルトル『実存主義とは何か』NHK 100分 de 名著 <2>
2015年 11月 NHKテキスト [Kindle版] NHK出版 日本放送協会 (編集) フォーマット: Kindle版 ファイルサイズ: 18116 KB 紙の本の長さ: 103 ページ
★★★★☆
眠れない夜に(今日は新月だ)しずしず起きだしてHDに録画していた、第二回目を見る。25分だから、実に簡潔。問題点がすでに整理してあって、ああ、これがサルトルか、と簡単に分かりそうな気分になる。
小説「嘔吐」が紹介されているので、さっそく新訳を図書館にリクエスト。ボーボアールとの恋愛や不思議な人間関係についても学ぶ。自分探しという過去指向ではなく、「在り方」という未来志向であると。シナリオ通りに動くのではなく、シナリオのない自由。ある意味それは地獄であると。
前回、Oshoがサルトルに触れたあたりを抜粋したが、あの切り取りでは完全ではないだろう。
ジャン・ポール・サルトルが代表している実存主義はまがいものだ。瞑想については何ひとつ知らないのに、彼は「存在」(ビーイング)について語り、「無」について語っている。ああ、それはふたつのものではない。存在(ビーイング)とは、無だ。だからこそ仏陀は存在(ビーイング)を、アナッタ---無我と呼んだ。ゴータマブッダは、歴史上、自己を「無我」と呼んだただひとりの人だ。私が仏陀を愛しているのには千とひとつの理由がある。これはその理由のひとつにすぎない。時間がなにので千の理由をあげているわけにはいかないが、もしかしたらいつか私は、その千の理由についても話し始めるかも知れない・・・。Osho「私が愛した本」p137
Oshoは別なところでは、こう言っている。
哲学は言葉に対する強迫観念だ。「神」という言葉が神の体験よりも重要なものになる。それが哲学だ。哲学は尋ねる---「神」という言葉をつかうとき、あなたはそれで何を意味しているか? 「真理」といいう言葉を使うとき、あなたはそれで何を意味しているか? 「善」という言葉を使う時、あなたはそれで何を意味しているか? 「愛」という言葉を使う時、あなたはそれで何を意味しているか?
哲学は多かれ少なかれ言語的な現象、語学と文法の、些事(さじ)にこだわる机上の空論だ。それは現実とはまったくかかわりを持っていない。それは現実について語る。だが、いいかな、現実について語ることと現実のなかに入ってゆくことはまったく違う。哲学は議論だが、宗教は体験だ。
私の関心は宗教にあり、哲学にはまったくない。 THE WHITE LOTUS Osho 「英知の辞典」p417「哲学 PHILOSOPHY」
また別なところではこう言う。
西洋は基本的に科学的、唯物的、客観的だ。科学的であることに何ひとつ間違いはないが、科学で終わりだと考えることは間違っている。物質の秘密を知ることは間違ってはいないが、物質を知ることで知る価値のあるすべてのことを知りつくしたと考えるなら、それは絶対に間違いだ。だが、西洋が西洋のままでいるかぎり、この唯物論的、客観的、科学的な姿勢(アプローチ)という古い考え方は続いていくだろう。
東洋は物質以上の何かを信じ、またそれを体験してきたが、それ以上の何かに夢中になるあまり、物質にはまったく無関心になってしまった。これもまた間違っている。
東洋がこれほど貧困、飢餓、病気に苦しんでいるのはそのためだ---理由は明らかに、東洋がすべての注意を精神霊(スピリチュアル)なものに向けて、物質的なものを無視してしまったからだ。東洋は宗教的であり、神秘的であり、主観的だが、科学的な姿勢を犠牲にしている。東洋は科学を越えてゆくが、科学もまた必要であり、なくてはならぬものだ。(中略)
東洋は西洋の唯物主義と科学的姿勢を学ばなければならないし、西洋は東洋の神秘主義と主観的姿勢をまなばなければならない。そこで初めて全体的な人間がつくりだされる。(後略)EIGHTY-FOUR THOUSAND POEMS Osho 「英知の辞典」p430 「東洋/西洋 EAST/WEST」
こう言った文脈の中で、ひとつの体験的な出会いとしてサルトルを学び、サルトルに向けて瞑想してみることも必要である。
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