「週刊 仏教新発見 改訂版」創刊号 01 法隆寺再建の謎に迫る<13>
「週刊 仏教新発見
改訂版」創刊号 01 法隆寺再建の謎に迫る<13>
朝日ビジュアルシリーズ 2015/12 朝日新聞出版
ムック 48ページ
★★★★☆
さあ、ここまでくると、頭をよぎるのは屋根をどうするかである。さまざまな資料、模型、ケースを見ていると、いくつかの例が考えられる。
1)内部構造が見えるように、このまま縦材で終了してしまう。
2)新たなる一枚板で屋根を彫刻する。その場合でも接着するか、着脱可能とするか。
3)新たなる素材で屋根構造を考える。
まず1)についてはありそうではあるが、そもそもが五重塔全体がどうなっているのかの学習のための模型であってみれば、やはり屋根もキチンと完成させるべきであろう。
2)についてはすでに素材も準備してあり、木工というレベルなら、そう難しいこともなく、密着、着脱、両方可能となろう。しかし、法隆寺の五重塔は瓦が上がっているのである。柿(こけら)葺きではないので、実体とは大きく違ってしまう。
3)それでは、別の素材を考えるとなると、どうだろう。固紙なら大量に準備してある。加工も難しくないだろう。しかし、その質感、色はどうするのか。五重塔においては屋根が占める面積はかなり大きい。折角の木質系を紙で封印してしまうのは、いかがなものか。
となると、あとは瓦の質感を出すために、スレートのような岩石を彫り出すような方法だが、良い素材が見当たらず、彫り出すという作業も大変なエネルギーを使うだろう。これもまずむりだろうな。
次に瓦という素材から粘土を使う案が浮上してくる。粘土にも紙粘土と油粘土があり、油粘土は固まらず変形するので不適である。残されたのは紙粘土。100円ショップでも売っているし、加工も簡単。
しかしながら、紙粘土は基本が白色なので、もともとの黒色の瓦をうまく表現できないのではないか。そして、後で着色することもしたくない。考えられるのは、形成する前に色素を混ぜ込むことである。
どこかに子供たちが残していった墨汁があったはずだから、形成の前に紙粘土に墨汁を混ぜ込んで練り上げれば、結構、瓦の質感がでてくるのではないか。可能性はあるが、これだけの面積である。濃淡をださないようにうまく練り込めるだろうか。
粘土は購入しなければならないが安価である。安価ではあるが、5層、4面の20枚の屋根を覆うとなると、結構な経費になることは間違いない。そもそも廃材利用が基本のわが五重塔40分の1スケールモデル、出来れば経費をあまりかけたくない。
そこで浮上しているのが、物置に余っている石膏。子供たちが塑像を作ったあとに余ってしまったパウダー状のものである。おそらく全面を覆うには足りる量はあり、他に使い道がないとすれば、これもまた立派な廃材利用となる。
しかしまた石膏も欠点がある。まず液体の石膏を流す型枠を作る必要がある。色が白なので、結局、墨汁のような着色が必要であろう。一旦固まってしまうと後からの変形が難しい。割れやすい、表面が剥離しやすいのでラッカーのような後処理が必要となろう。屋根に対する色々な想いが去来する。
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