「杷不住述懐」<1>はじめに
1)私の人生においては、三つの文章を残しておけば、まぁ大体足りるだろうと思う。ひとつは、青春時代の一こまをつづった「雀の森の物語」であり、二つ目はOSHOとの出会いをつづった「湧き出ずるロータス・スートラ」であり、三つ目は、この読書ブログをひとまとめにした「地球人スピリット・ジャーナル・ダイジェスト版」である。
2)「物語」は20歳の私が、当時自分たちが編集発行していたミニコミ雑誌「時空間」に書いたもので、当時のコミューン生活を中心につづったものである。もちろんまだOSHOの存在も知らない青春真っ盛りの自分が、ぼろぼろになりながら、次なるものを見つけようとしてあがいていた時代に書かれたのだった。
3)二つ目の「スートラ」は、OSHOが肉体を離れたあと、当時京都に住んでいた文殊正規氏(スワミ・アナンド・モンジュ)に乞われて彼が編集していた「TUKUYOMI」に二回に渡って寄稿したものである。1992年。私はすでに39歳になっていた。子供ふたりあり、生活に追われるような暮らしぶりではあったが、まだまだ志は高く持ち続けようとしていた。
4)三つめは、奥さんが図書館勤務になったのをきっかけに始まった私の読書生活をパソコンで綴ったブログをまとめたものである。書かれたのは2005年から現在まで。すでに私は51歳になり、初老、晩年へと降り立つ年代だった。数千冊に及ぶ記述をまとめたものが「ダイジェスト」だが、61歳になる今も続いているので、未完の作品と言っていい。ライフワークと位置付けてもいいのである。
5)時代的には「物語」>「スートラ」>「ダイジェスト」となり、前作を含むものとなっているので、「ダイジェスト」一作を読めばそれで終わりということになる。それはそれでいいのだが、これだけキーボードを叩いて来ても、まだ書き足りない部分も残っているから不思議なものである。
6)なにかのおりに関連付けてメモしておこうという記事もいくつかあるのだが、それはいつのことになるか分からないし、それをメモする前に私の人生も終わってしまうかもしれないので、このあたりで、前三作を補完する形で、あるいはダイジェスト版をさらに俯瞰する形で、断片的ではあるが、その時その時湧いてきた記事をメモしておくことにする。
7)思えば、前三作には、それぞれ前駆的な他人の文章が隠されている。「物語」は冬崎流峰氏の桝井論平氏との共著「ぼくは深夜を解放する」、「スートラ」はモンジュ氏翻訳のOSHO「未知への扉」、「ダイジェスト」は大ヒット作の梅田望夫氏の「ウェブ進化論」。それぞれの先駆的な人々の仕事にインスパイアされながら、私の文章が残されてきたとも言える。
8)さて、これから始めるわが「述懐」だが、前三作ほどには前駆的な他人の仕事には影響されていない。敢えていうなら自発的であり、自動的である。確かに、ネット上における槇田但人氏(きこり)の仕事にインスパイアされている部分もある。それでもそれは間接的であり、並列的である。
9)最近では、浜田光氏(あぱっち)の「名前のない新聞」に寄稿した「70年代のスピリチュアル」 がひとつのきっかけを作ってくれていると思うが、どうもあの文章では書き足らないことが多すぎる。補完の補完、何かの予兆ぐらいにしかならなかった。
10)さて諸君(と、存在もしそうもない読者を想定して、自分を鼓舞する)。これから始まるのは、たわいもない戯言の羅列である。おそらく諸君は最初、脈絡をつかみかねるだろう。部分的な出来事に好奇な関心を持つことがあるかもしれないが、ひとまとまりの論理性には辿り着かないだろう。それでいいのである。
11)おそらく、それらが今まで論理性を持ち、脈絡を保っていたものであるならば、すでにしかるべき場所において表現されつくされているのだ。それらは形が多少変化されていようが、多少の誤解や曲解を含みながらも、すでに「終わって」いるのだ。
12)ところが、これから始まる、物語、スートラ、ダイジェスト、は、それらからこぼれてしまった「余談」である。組み込み用のない「ゴミ」である。廃材であり、廃棄処理されるのを待つばかりの半端な記事である。それらを、ここにランダムに記事として記述しておこうというのである。それらのなかになにかひとまとまりのストーリーや論理を見つけることができないのは当然のことである。
13)それでもなお言おう、諸君は、これらの半端なゴミを繋げてみる時、そこに作られる沿革から、表現されていない空白の地帯を発見するだろう。その空白を記述するために、この述懐は始まる。
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