「薬師如来」 病苦離脱へ (信ずる心) 飯塚幸謙
「薬師如来」 病苦離脱へ (信ずる心)
飯塚 幸謙(著) 1987/10 集英社 単行本: 267ページ
No.3671★★★★☆
1)仏像やお寺ではなく、薬師如来そのものについてまとめた本は少なさそうだ。わが最寄りの図書館を見ると、この本がもっともそこに焦点をあてているようだが、すでに30年前の本である。
2)当時の読者層を想定して書かれている本なので、説明が今一つこなれていないが、そでも、仏教や仏像が国家運営のためとか、位の高い貴人のためだけのものではなく、一般民衆のものでもあることを強く思いださせる一冊である。
3)たしかに仏教伝来が、支配層の道具となり果ててしまっていたとしたら、これほど仏脈が続いてくる筈はないのだ。人々にとっての仏が有用でなければ、仏教は仏教たることができなかったであろう。
4)薬師如来とは、「現世利益」の神だという。願い事をして、叶えてもらう仏様なのだ。霊験あらたかなのである。特に、体や心の病気について願い事を聞いてくださる、とのことである。あるいはそのような信仰によって、薬師如来は存在し続けてきた。
5)私は客観的に認められる仏教徒でもなければ、もちろん仏弟子でもない。だからいまさら薬師如来を特別信仰しているわけではないのだが、地理的、血縁的に、薬師如来が身近に存在し、ともすれば、一族もろともに、その小さな社の祭事にかかわざる得ない。そのゆえあって、やはり薬師如来は、私にとっても特別な存在なのであった。
6)この本は、薬師如来を切り口にしてはいるけれど、深い仏教のみおしえへのガイドとなっており、必ずしも薬師如来ばかりについて書いてあるわけではない。仏教全般が語られ、現代が語られ、そして、最終的には、薬師如来について語られている。
7)苦しい時の神頼みとは言え、今時、病気直しのために薬師如来に頼ったところで、どの程度の霊験があるか、現代人にとっては鵜の目鷹の目であろう。医学が一般的に普及せず、祈祷や祈願で病気を克服しようとした時代は確かにあったのだろうが、はて、現代において、どれほど薬師如来の存在価値はあるのであろうか。
8)私は直接的にお願いしたことはないけれど、確かに不思議なことに、小さな時に喘息持ちだった親戚の子供のためにお婆さんが願かけし、やがて、その子供たち姉弟が二人して医者になった、という事実はある。これもまた薬師如来の御加護なのだろうか。
9)この本の末ページには「薬師瑠璃光如来本願功徳経」の読み下し文がついているのは有難い。繰り返し読んでみたい。
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