「神社とは何か? お寺とは何か?」 penbooks
penbooks004 017 2009/09 2012/04 阪急コミュケーションズ ムック p135 p148
No.3698~9★★★★★
1)さすが「pen」だけあって、面白い。「pen」の特集は、あたりはずれがあり、読者としては全然興味のないテーマも多いのだが、常に感じるのは、視点がいつも同じである、ということである。
2)その視点のイメージは、女性より男性だろうし、少年でもなく老年でもなく、青年より中年に傾いている年代であろう。おちついたインテリジェンスを持ち、収入もまずまず安定している。ポップなセンスも持ち合わせているが、古色蒼然たる文化についてもウンチクを傾ける。
3)パソコンオタクを超えるような情報リテラシーを持ちながらも、ミーハー文化論をも、じっくり読み解くチャメッけを持つ。車や女性などについての話題も一通りついては行くが、その程度のオモチャでは、納得しないぞ、というダンディズムが見える。
4)その「pen」が神社仏閣を論じる。「神社とは何か? お寺とは何か?」という、なんともベタなタイトルだが、「pen」だと、なんだか急に生きてくる。
5)今さらながら、すでに還暦男になってしまったわが身としては、この読者像の設定がいまいちズレてはいるのだが、あえて今この本に目を通すと、なるほど~、と納得することが多い。秀逸なのは、この本では、神社とお寺を、均等に、等量に論じているところ。そして、ポップとインテリジェンスがジャストマッチしているところ。
6)逆に言うと、この読者層から外れている「東北人」から見れば、面白くないことが多い。神社仏閣の所在地が、とかく南に傾いており、東北、北海道の紹介が少ないこと。オイオイ、こちらにも素晴らしい神社仏閣も多いよ、と叫びたくなる。
7)こんなことだからこそ、1300年前以上の文化歴史について語りたくなる。古事記、日本書記の以前のこと。アラハバキや、ホツマや、縄文についてなど。ヒタカミやアイヌや三内丸山など、言い出したらきりがない。
8)そういうところをバッサリ切って、敢えて神仏習合、神仏混淆、神仏分離、本地垂迹な世界を、クッキリと浮き出させてみる。本職、プロの人々でさえ、この簡潔なムックには、きっと驚くような切れ味を見ることができるだろう。
9)もちろん、ここは入口で、ここから先はいろいろありますよ、ということだが、「pen」はここからはあまり深入りしない。ともすれば物知り顔のスノビズムに陥ってしまい、軽薄路線に流れてしまうところだが、そこをグッと押えているのが、毎回培っている「pen」の世界観である。
10)この本、個人的にはレインボー評価もありかな、とは思うのだが、私は絶対、この世界には満足しない。先ほど言ったように、アラハバキ、ホツマ、縄文、三内丸山、アイヌ、にまで降りないと、納得はできない。
11)それにしても、神社とお寺の文化は、実に1300年の歴史をうまく裏表使い分けて生き延びてきたのものだと、この本を読んであらためて納得する。
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