「中空構造日本の深層」 河合隼雄
「中空構造日本の深層」
河合隼雄 1999/01中央公論社 文庫 274ページ
No.3696★★★☆☆
1)この文庫本は1999年にでているけれど、元本は1982/01に同じく中央公論社からでている。しかも収められている文章の初出は70年代末の文章なので、時事問題を洒脱に取り入れる著者の文章は、2016年現在読むとやや冗漫を通り過ぎて、まと外れにさえ思えるところもある。
2)しかしながら、こちらも、ターゲットを絞りこみ、特に新潮CD「古事記」に肉声として録音されている文章の言質をとる意味で、文章を探っていくと、重要なポイントはいくつも見つかる。
3)男性原理と女性原理という点から見れば、そもそもイザナキ、イザナミの結婚の儀式が印象的である。天の御柱を回るときに、イザナキは左より、イザナミは右より回ることになるが、イザナミが先に「あなにやし、えをとこを」と言い、イザナキがその後に「あなにやし、え娘子(をとめこ)を」と言う。
ところが、このとき女性が先にものを言ったのが悪く、ヒルコが生まれる。このヒルコはこのましくない子としえ、葦舟に入れて流してしまう。このヒルコに対する解釈はいろいろとあるが、アマテラスがオオヒルメノムチと呼ばれるところから考えると、ヒルメに対するヒルコという対立が考えられる。p44「『古事記』神話における中空構造」
4)この本と対となる姉妹編「母性社会日本の病理」は、さらにこの本よりも5年も遡るらしい。う~む、いまいち古色蒼然としてくる。
5)「古事記」神話において中心を占めるものは、アメノミナカヌシ----ツクヨミ----ホスセリ、で示されるように、地位あるいは場所はあるが実体もはたらきもないものである。それは、権威あるもの、権力をもつものによる統合のモデルではなく、力もはたらきももたない中心が相対立する力を適当に均衡せしめているモデルを提供するものである。p47 同上
6)五重塔の模型を作っていて思ったことは、五重塔とは曼陀羅である、ということである。
しかも、中空で、空間に構築されている構造体なのであった。
7)するどく中心統合的構造物でありながら、実は中心が固定されていないという逆説。そして、五重塔を日本人が好んできた、ということが、どこかで繋がっているように思う。
8)その他、この本をめくっていたり、ネットで観連をしらべているうちに、直感的に感じてしまったことはいろいろあるが、今はメモすることもはばかれるようなものが多し。
9)ヒルコ=縄文遮光器土偶=アラハバキ=スクナヒコ、などなど、極めてとりとめもない発想となるので、このあたりについては、だれか、キチンとした解説者に、納得のできる説明を受けたほうがいいようだ。
10)下手な妄想は、つつしもう。
つづく・・・かも
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