「天竺」渡辺 眸(写真)<2>
「天竺」 <2>
渡辺 眸(写真) 1983/01 出版社: 野草社 単行本 渡辺眸関連リスト
★★★★★
1)ネットで画像検索した時はタテ型の本だったのに、いざ手に取ってみると、ヨコ組みの写真集だった。これって、本当に同じ本なのかな?外箱と中身の違いでいいのかな?
2)数ある著者写真集の中で、この写真集が「東大全共闘1968‐1969」(2007/10新潮社)とともに彼女の「代表作」とされる理由が、実際の写真集を手にしてわかった。この本には、カメラウーマン一人の作品という枠を超えて、たくさんのアーティストや著述家や編集者の「意図」が隠されていたのである。
3)1983年という時代性を考えれば、ほぼ「ゴールデンキャスト」とちょっと皮肉さえ言いたくなるほどの人々が名前を連ねている。
4)カメラや写真集、出版、あるいは「東京の事情」にまったく疎い私としては、「たかが」一冊の写真集を出すだけで、これだけの「陣容」が必要であったのだろうか、不審に思う。
5)たしかに、「売れるか売れないか」分からないような写真集を出版するにあたって、あらゆることを考慮して、できるだけ万全の態勢を整えたいのはわかる。それはそうでなければならないだろう。しかし、一読者として、しかも「遅れてやってきた」読者として見た場合、これはあまりに大げさだ、と感じるのも事実である。
6)同じ作者のインドの旅の写真集なら、私にはむしろ「西方神話」のほうが「素直」だと思う。もっとも「天竺」のほうは大型ヨコ組みで、写真そのものが十分に生かされているし、原作に近いに違いない。「西方神話」は通常の縦組みの小さな本だ。アートとしては「限界」があるだろう。
7)1983年と1997年という発行年代の違いも、そうとうに大きいだろう。それら全体を勘案して、総合的に判断しなければならないが、私個人としての感性に従えば、やはり、彼女の代表作に加えるとすれば「西方神話」のほうとなる。(ちょっと、ひねくれているがw)
つづく
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