「癒される旅」極道(ヤクザ)の娘が自分探し 田岡由伎 <2>
「癒される旅」―極道(ヤクザ)の娘が自分探し <2>
田岡 由伎 1999/10 講談社 単行本: 241p
★★★★★
1)当ブログには、1.0+2.0で、都合10000に及ぶ記事がある。その中にあっても、ロングテールならぬ、トップヘッドともいうべきアクセ数が集中するページが存在する。さらに、そのトップ10の一冊に入るのが、この本についての前回の書き込みである。
2)なぜそのような現象が起きているのかしらないが、おそらくこの本に対するネット上の情報が少ないので、おのずと当ブログがリストの上位に上がってくるのだろう。それにしても、書き手としては若干複雑な気分だ。
3)前回書いた時の評価は、実は、最低レベルの★ひとつである。そんな感想を、多くの人が読むのは、ちょっと気の毒だ。だから、時には、このページにアクセスできないように隠したこともある。
4)しかし、時間が経過すると、いやいやそれはフェアではない。自分の気持ちを素直に正直に書いたのだから、それがどんな理由にせよ、目についた人が読むことを拒んではならない、と反省する時もある。
5)いずれにせよ、この本は喜多郎追っかけの中で読まれた本であり、ある意味、喜多郎の「実像」に迫るには、かなり重要な一冊ということになる。この本に書かれている内容が全部真実であるとはいえない。おそらく、この本もゴーストライターが書いたか、出版者のアドバイスがあるのだろうから、注意して読まなければならない。それでもなお、全体を見る場合、よきステレオ効果を期待できる一冊である。
6)今回、ゆえあって、またまた喜多郎追っかけが再燃した。それでまたこの本を手にとったわけだが、今回は、喜多郎だけではなく、著者である女性の立場をも、よく読みとってみようと、思い立った。
7)「本を書くねん」と喜多郎が神戸に来たときに告げたら、一瞬、彼の顔は、ザザッとくもったが、即、気を取り直し、「どんな本?」と尋ねてきた。「エッセイみたいなもん」と答えると、それ以上追及してこなかった。きっと、これを読んだら、メチャメチャいやな気分だろう。
昔の終った話を、しかも、別れた妻が書くのだから、一方的に自分が悪者になる役回りとなる。当然、彼が書いたら、また違う新しい物語となるだろう。
これは、あくまで、私の目から見た風景なのだから・・・・。腹立ったら怒ってください。我慢せずに言ってください。
とはいえ、書いてしまったので後の祭りですが・・・・。元夫をネタに本を書いたのは私であって、これがきっかけで、また息子との距離が遠のくのが私にとって何より辛いことなのだ。それだけは、やってほしくない一番恐いことである。(中略)
元夫がどんな形であれ、幸せであって欲しいと強く願っている。
この本で恨まれるかもしれないが・・・・。私の生き様の一部を曝け出しているに過ぎないのである。p132「結婚、そして別離」
8)ご本人様たちがそのように納得しあっているなら、一読者はもうすでにどうのこうのいう筋合いではない。
9)最初の出会いはどのようなものであったのか。それは新幹線の中の偶然な出会いということになっている。
10)喜多郎と出逢ったのは、1983年の春だった。神戸から東京に向かう新幹線の中である。(中略)
そこに、新大阪から一人の男が乗ってきた。彼の顔を見て、「あ、喜多郎にそっくりだ」と思った。
信州の長野県八坂村に暮らしている喜多郎は、スキーツアーでしっばしば信州に出かけるという私に向かって、ぜひ遊びに来るようにと誘ってくれた。喜多郎が名古屋で新幹線を下りる頃には、電話番号を交換し合い、遊びに行く日にちも決めていた。p56「赤い糸伝説の始まり」
11)1954年生まれの彼女は喜多郎の2学年下。お呼びではなかろうが、私は丁度その中間。昭和の戦後っ子の私たちもすでに還暦を迎え、孫子に囲まれて暮らす年代である。かつてのことをどうのこうのと言っても、すでにそれぞれの出来事を脚色なしには思い出すことも、語ることもできない年代となっている。
12)この本が出たのが彼女45歳の時、息子もまだ14歳ほどだった。あれから17年も経過すれば、その息子もさぞや大きくなったことだろう。我が家の子供たちも似たり寄ったりだ。
13)読めば読むほど、一般人には住んでいる世界の違いを感じさせる一冊ではあるが、自己開示して一冊ものしていることには、ここで素直に座布団一枚捧げておく必要があるだろう。
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コメント
この記事が人気記事ランキングに登場することは痛し痒しである。デバガメ的好奇心や、猟奇的露悪趣味に陥っていないかどうか。どのような人生であれ、ひとつひとつ、豊かな土壌で、育まれる必要がある。ぞんざいに扱われてはならない、と肝に銘ず。
投稿: Bhavesh | 2018/08/27 01:51