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2016/08/23

「2016年版 間違いだらけのクルマ選び」島下泰久<15>

<14>からつづく

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「2016年版間違いだらけのクルマ選び」
島下 泰久 (著) 2015/12 草思社 単行本(ソフトカバー) 256ページ 目次
★★★★☆

<15>ワンボックスを考える

1)訳あって、この数日ワンボックスを運転する役割を引き受けた。8人乗りのワンボックスに8人を乗せて走るチャンスというものはそうあるものではない。人生の中で数えてみれば、おそらくこれが最初の体験。

2)もともと私の若い時分はワンボックス派だった。せっかく動くクルマに一人だけ乗っているなんて無駄ではないか。仕事で荷物を運ぶ必要もあり、家族で移動する機会もたびたびあり、クルマはワンボックス、と決めていた時期は長かった。

3)都合3台ワンボックスと乗り継いだが、最後の一台は、かなり満足の一台だった。当時貨物車はあったが、ワンボックスと銘打つ国産乗用タイプは限られていた。その中でも人気車種のトップモデルであった。

4)当時はまだまだクルマ社会も黎明期で、そもそも最初はエアコンのないタイプを購入した。ハイルーフにサンルーフ、ムーンルーフという大きな天井窓がついたタイプで、車体もカッコよかった。新車の頃は、見知らぬ人から中まで覗かれたことは一度や二度ではない。

5)それからディアルエアコンと称する、前席用と中後席用の二つのエアコンをつけ、なんとオプションの冷蔵庫も付けた。(笑) この冷蔵庫は、結構な価格だったが(小型家庭用冷蔵庫とあまりかわらなかった)活躍した機会はほんの2~3回だった。

6)なんと、ドアのガラスはハンドルをぐるぐる回す式だったのだが、そこにモーターをつけて、電動式にした。テレビも付けた。アンテナも屋外にダブルアンテナをつけて広く受信しようとした。停止しているときは安定しているが、郊外に行って移動中などはほとんど受信しなかった。

7)そこで、ビデオ専用となり、シガーライターから100Vの電源をとり、小型ビデオデッキでVHSテープでアニメを流し、子供たちにはそれなりに受けた。ハイマウントストップランプも後付けでつけた。回転式二列目のシートを反転し、対面シートにして、間には自作のテーブルをつけた。キャップに行ったときなどは、大いに活躍した。

8)大活躍したわがワンボックスカーだったが、寿命は割と短かった。自作でフィルムを張った天井窓から雨漏りが始まり、足回りもがガツンガツンというのは5年目あたりから耐えがたくなってきた。

9)そして一番悲しいことに、我が家の一家してドライブというスタイルはだんだん遠のいていったのである。子供たちが成長し、私は一人、空っぽの座席とともに寂しくドライブするようになったのである。そして、あの頃は一家に二台という時代で奥さん用の軽自動車があったので、そちらを使うようになったのである。

10)あれから二十年近くが経過した。もう私はあれ以来、ワンボックスに魅力は感じなくなった。マイカーも二台から一台という時代になり、いわゆるステーションワゴンという時代になった。当時のステーションワゴンも最初期で、あまり選択肢がなかった。バンを単にステーションワゴンと呼ぶような、まがい物の時代である。

11)しかし、何台かはまともなステーションワゴンを作り始め、我が家では、三番人気くらいのクルマ選びをした。結果からいうとこれでよかったのだが、単体として我が家にやってきたクルマはほとんど不良品だった。当時の斜陽メーカー(日産だが)がつくった粗悪品だったと思う。ゴーンが来る直前だった。あれで、私はステーションワゴンにも味噌をつけた。

12)現在ではあらゆるところにステーションワゴンという名のクルマが転がっており、選ぶに困るくらいだが。

13)ステーションワゴンと称するものは、現在ではハッチバックで対応しているので、別段に大騒ぎするほどではないが、ワンボックスというものは独特である。形状から目的まで、本当にそれを選ばないといけない。

14)現在の私がワンボックスを選ぶとするならば、キャンピングカーもどきの使い方をしたいかな、という時だろう。クルマの中に寝ころびたい、どこかの森の中で昼寝をしたい。あるいは、ノマドを気取って、移動オフィスはどうだ。夢は広がる。

15)だが。ワンボックスで一晩キャンプ場で寝ることを考えてみる。熱い車内で一晩快適に過ごせるか。窓を開ければ虫が入ってくる。明かりをつければ、中が丸見えだ。エアコンをつければ、燃費騒ぎだけでなく、一晩中まわりに騒音をまき散らすことになる。とても実用キャンピングカーになるとは思えない。

16)ノマドオフィス向けはどうだ。たしかに机とパソコンをおいて、プリンタやほかの情報機器をつければ、それなりカッコいいと思う。だが、現在の私のノマド機器は、実は肩掛けバックひとつで間に合うのだ。なにも、大きな空間を運び歩く必要はないのだ。たしかに寝ころぶことは可能であろうが、それは何も自分のクルマである必要はない。

17)ということで、現在の私は、過去はどうあれ、ワンボックスを必要とはしない。普通のHV車にノマド=モバイルセットを詰め込んだ肩掛けバックがあればそれでいいのだ。必要に迫られて後席を使うことはあっても、別段クルマに宿泊する必要はない(災害時を除く)。

18)というわけで、私の人生最後のクルマ選びにワンボックスが登場することはない。軽ワゴンでのんびり旅をしよう、などという人がいることは知ってはいるが、私なら、快適なドライブをして、格安の民宿やビジネスホテルに宿泊したほうが好みにあっているようだ。

19)こんなことを豪語するのは、所有者が違うとはいえ、我が家にすでに一台ワンボックスがあって、いつでも利用できるからなのであり、結局は、事実上の私のクルマは、我が家二台目のクルマ、ということからくる自由さがあるのであった。

<16>へつづく

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