「2016年版 間違いだらけのクルマ選び」島下泰久<19>
「2016年版間違いだらけのクルマ選び」
島下 泰久 (著) 2015/12 草思社 単行本(ソフトカバー) 256ページ 目次
★★★★☆
<19>旧車の欠点
1)一体全体、マイカーのモデルが古くなった場合の欠点を挙げてみる。
・見栄えがしない。見栄を張れない。注目されない。嫌味を言われる。傷が多くなる。装置が時代にマッチしなくなる。ナビがいよいよ古くなる。タイヤを交換しつづけなければならない。下取り価格がどんどん下がる。飽きてくる。故障が多くなる。ほかのモデルが気になり始める。
2)では、良い点も挙げてみる。
・体になじむ。人馬一体化がすすむ。ローンの残高が減る。希少価値が高くなる。走り方が上手になる。自分のキャラクターの一部となる。満足するとほかのモデルに浮気する気がなくなる。多少の傷は笑ってすますことができる。自分の中のクルマの基準が固まってくる。
3)私のクルマの選択基準の一つは、10年10万キロである。それだけ走れるクルマ。それだけ飽きずに乗れるクルマ。家族環境の変化に対応できるクルマ。それが大きな基準となっている。しかし、これがなかなかクリアされることはない。なぜか。
4)どこかここかがヘタってくる。特に足回り。ボディの多少の傷は諦めもつく。装備の劣化も読み込み済みだ。家族の変化もある程度は対応できなくなる。ただ、足回りの、あのガタガタとなってくるのには参る。腰が痛くなるばかりではなく、耳にも悪い。心にも悪い。いかにも、ボロクルマに乗っているなぁ、と、劣等感にさいなまされる。
5)どうやら、足回りも、いろいろ改良する方法があるようだ。技術者やクロートなら、そんなことは朝飯前だろうし、また、その改良が楽しいからこそ旧車を安く買う、なんて人もいる。そんな人は、本当にうらやましい。
6)しかし、私にそれができない。物置小屋程度のDIYなら、むしろ私も積極的に遊びたい。クルマだって、多少の装備なら交換もする。しかし、ものごとは命にかかわる自動車である。高速道路でどのような環境に置かれるとも限らない。その時、私は自信をもって、そのクルマに乗り続けることはできない。
7)それに、私の業務上、さぁ出発、という時に故障でエンコと、ということは許されない。最低限、走る、曲がる、止まる、のクルマの機能をはたしてくれないと困る。あまりぜいたくなことは言わない。とにかく、まずはクルマであってくれればいい。
8)そういう基準でいうと、私の乗ってきたクルマは、9年、7年、11年、というサイクルだった。若い時の中古や軽は、もっと短くて、2年とか4年なんてのもあった。10年乗ることは、ある意味至難の業だ。
9)10年以上乗ることは可能である。それはメンテナンスを続ければいいわけで、現在の日本車は十分それに耐えてくれる。しかしそれには経費がかかる。場合によっては、目が飛び出るような出費になる時もある。それをどう見るのか。旧車が好きで好きでそれを乗り次いでいくことに快感を覚えるのか。それとも、経費を見比べて、安価な新車を考えるのか。
10)若いときはいざ知らず、このところ中古を買おうとしたことはない。ドイツ車の人気が高く、新車は無理だから、3年落ち、5年落ちの中古を、何度も何度も見に行ったことがある。しかしながら、いつも思うこと。なんでそれまでして、そんな中古を買わなければならないのか、ということ。中古は中古、ヘタっているところは必ずあり、もし所有しても、耐用年数はそれなりに縮まっているのだ。少なくとも新車の乗り心地ではない。
11)はてさて、そんなことを考えながらぼーっとしていると、今目の前にあるこの6年6万キロの旧車は、どうなのか。あまりに宙ぶらりんの位置にいる。このまま下取りに出してもイイ値はつかないだろう。まだまだ飽きたとは言えないが、たしかに装備やスタイルに新鮮味を感じなくなってはいる。
12)でも、座席に座れば、黙って走り出してくれるし、大体において最近は燃費がリッターあたり2キロ程度増えているのだ。これはどうしたことか。エンジンやバッテリーがなじんできたのか。こちらの運転を読み込んで、人馬一体化が進んでいるのか。あるいは、自慢じゃないが、私の運転技術が上がってきたのか。正直いうと目立つ不満は、ないのだ。
13)今回、突然浮上したクルマ選びは、他律的なもの。偶然、そのような立場に立たされた。ああ、この際だから、たまにクルマ情報もブラッシュアップしておかないとなぁ、とちょっと首を突っ込んでみたら、これがまた、面白い。実用の世界でありながら、きわめて趣味的な世界。夢を掻き立ててくれるだけではなく、現実的にカネを要求してくる。とても特殊な存在なのである。
14)今回のクルマ選びの結論はもうでている。もう一回車検を通す。そして場合によっては、さらに車検をもう一回通す。そうすると、9年9万キロ、11年11万キロとなる。これでこそ、このクルマを買った時に、女房殿にお約束した10年10万キロ、オレは満足じゃ、買ってくれ~~、という悲鳴に似た請願も達成されるというものである。
15)今回の、私の心は確かである。多少のことは我慢しよう。悪いところは修理しよう。傷や損傷はリペアしよう。乗り方を研究しよう。新車を無理に見せびらかすよりも、丁寧に長年自車を乗り続けていることを自慢しよう。そして、ハイブリッドのバッテリーがどのように長持ちしたのかをリポートし続けようではないか。
16)決意は固いが、いつどんな時に、突然、買い替えのチャンスがやってこないとも限らないのが、このモータリゼーションの世界である。そのためには、今後も、クルマ情報は常にブラッシュアップしつづけよう。ただ、それは、現実的に、いつどうなってもいいように、準備をしておく、というだけであって、浮気心に火をつけるようなものであってはならない、と自制する。
| 固定リンク
「11)Oh my Love」カテゴリの記事
- 再読したいこのカテゴリこの3冊「Oh my Love」編(2016.10.01)
- 「WIRED VOL.24」 特集 NEW CITY 新しい都市 <3>(2016.10.01)
- 「わがボタニカルライフ」<33>トチの実(2016.10.01)
- 「2016年版 間違いだらけのクルマ選び」島下泰久<29>見えてきたもの(2016.09.30)
- 「パソコン購入ガイド」 2016 100%ムックシリーズ<48>(2016.09.30)
コメント