「未来のクルマができるまで」 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI 岩貞るみこ
「未来のクルマができるまで」 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI岩貞 るみこ (著) 2016/06 講談社 単行本: 176ページ
No.3771★★★★★
1)私は漫画も好きではないし、小説も好きではない。あまりに作られたようなフィクションは最初から願い下げなのだ。しかしながら、この本はなぜか最初から最後まで全部読んでしまった。もちろん、これは漫画でもなければ、小説でもない。厳密に言えばノンフィクションではない。しかしながら、現実の果実として、ミライという現車が残る。
2)この本を書いているのはノンフィクション作家にして、モータージャーナリストの女性である。その女性の視点というところが、この本の成功の秘訣だったかもしれない。想像力が日々衰えつつある我が脳裏にも、まざまざと漫画のような図面が次々と現れて、すっかり最後まで付き合ってしまった。
3)そもそもこの本は、子供向けの本である。その証拠に、文章の一字一句にルビが振ってある。私向きだったのはこのせいかもしれない。小難しいことはもういい。どうせ読んでもわからないのだ。できればわかりやすく、印象深く教えてほしい。そういう我が要求に、この本はキチンと答えてくれた。
4)この本の主人公である、水素自動車FCHVミライ。そこまでたどり着くまでの道のりが、いくらダイジェストでデフォルメされているとはいえ、実にわかりやすく説明してあった。もちろん、これがすべてではなかろうし、多少は美化もされているだろう。企業秘密の部分もあるに違いない。それでもやっぱり、すごいなと思う。
5)まぁ、クルマに限らず、他のITや電子機器の開発にしても、きっと同じような苦労話はどこにでもあるのだ。別段にミライ開発にだけ起きたことでもなかろう。しかし、誰もやったことのないことを、とにかくみんなでやってみよう、と努力する姿には、素直に感動する。落涙すらする。
6)ドイツ車をべた褒めし、日本車を奮い立たせ続けてきた徳大寺有恒が、最後の最後、なくなる直前に、ようやく認めたミライ。そのクルマは、ゴルフを超えた、本当の未来であってほしい。
7)今すぐ私がこのクルマに乗ることはできない。いくら200万の補助金つきとはいえ、500万円を超すようなお買い物は、私にはできない。しかし、この技術はきっと、近未来的に下がってくる。もっと身近なものになるに違いない。
8)私が生きている間に、この手のクルマに乗ることができるかもしれない。それこそ人生最後の一台になるかもしれないのだ。そういう夢を、還暦男にも持たせてくれたミライに感謝する。そして、技術する人々すべてに感謝したい。
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