「革命戦士長州力 俺の心の叫びを聞いてくれ!! 」 長州 力
「革命戦士長州力 俺の心の叫びを聞いてくれ!! 」
長州 力 (著) 1984/3 都市と生活社 単行本 225ページ
No.3777★★☆☆☆
1)1952/12生まれの長州力、31歳の時に出版された本。「反骨イズム」長州力の光と影(辻 義就1997/12 アミューズブックス)を読んだあととなっては、ましてやミスター高橋の「流血の魔術 最強の演技」すべてのプロレスはショーである(2001/12 講談社)を読んだあととなっては、スカスカな本と言える。
2)しかし、そのスカスカな内容のどこがどうなのか、というのは、やはり前二著と本著を読み比べてみることで、よりはっきりしてくる。
3)廃品回収業の父親は、当時の一種の金融業をやっていたことになり、高校に入るのも大学に行くのも、あまり勉強もしないので、というようなプロセスをたどっていく。もちろん、国籍の問題は一切でてこないので、オリンピックには出場したことになっているが、韓国の選手としてでた経緯などは一切でてこない。
4)プロレス界に入って、すでに10年のキャリアを積んだあとの長州力である。ましてや年齢も30歳を過ぎたところ。内部矛盾に気が付き、あがき始めるのは当然といえるタイミングである。
5)裏表紙で、長州の手を上げて、勝ち名乗りをしているのはレフリーのミスター高橋だ。すべてがプロレスの世界のことであり、革命とか、戦士とか、心の叫びとか、そのあたりは、十分に割り引いて読み進めるべきだ。
6)長州力は能力のあるマッチメーカーだというから、つまり演劇でいえば、役者にして、シナリオライターという役割を果たしており、またその能力も抜きんでいた、ということだろう。どこかにプロレスは八百長ではない、と豪語しているが、それは、プロレスはビジネスショーである、命をかけたエンターテイメントである、という程度に読み替えておいて構わないだろう。
7)前二著に比較すれば、なんとも当時はやりのタレント本でしかなく、本のタイトルも、笑ってしまえばそれまでのこと。フィクションをフィクションとして楽しめばそれでいいではないか、という熱烈なファン層の叫びが聞こえてきそうだ。
8)とにかく、これらを読んだうえで、次なる「真説・長州力1951-2015」(2015/07 集英社インターナショナル)も目を通したい、と思う。所詮、書物というのはその程度であるのであり、この新刊にも、どれほどの真実味があるのかどうか、その都度、感動はするのであろうが、感動というやつもまた、あまり入れ込まないでおく必要があるだろう。
9)人生、それぞれだ。どの人がどのようなストーリーを選び取り、その人生を生きていくのかは、それぞれに任されている。出会いの中で、そのストーリーをまといながら、虚実織り交ぜながら一生を終えるのは、別段プロレスラーに限らない。
10)出身の山口県を意味する長州、そして力道山に倣って力、それを合わせて作られた長州力というプロレスラー像を、吉田(郭)光雄は、敏感に時代をかぎ取り、たくましく生き抜いていった。
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