「マッチメイカー」プロレスはエンターティメントだから面白い ミスター高橋
「マッチメイカー」プロレスはエンターティメントだから面白い
ミスター高橋 (著) 2002/12 ゼニスプラニング 単行本 237ページ
No.3785★★★☆☆
1)「プロレス至近距離の真実」レフェリーだけが知っている表と裏(ミスター高橋 1998/11 講談社)
「流血の魔術 最強の演技」すべてのプロレスはショーである(ミスター高橋 2001/12 講談社)
につづく、ミスター高橋著、いわゆる高橋本とされるものの三部作の三冊目、というとらえ方でいいのだろうか。
2)芝居やミュージカルに、シナリオライターや演出家がいるとすれば、興行としてのプロレスには、マッチメイカーが存在する。カタログや資料に明記されるものではなく、必然的に存在しながら、暗にその存在を隠されているもの、それがマッチメイカーである。
3)興行としてのプロレスにはこのマッチメイカーが存在しないことには成立しえない。ここが、他のスポーツが「筋書のないドラマ」と言われるところと、大きく違うところだ。ステージにあがる役者が激しいレッスンをこなしているように、プロレスラーもリングに上がる限りは、強靭な肉体に鍛えなければならない。しかし、それでもやっぱり他のスポーツとは違うところがある。そこにマッチメイカーが存在する限りは。
4)この本は、ノンフィクション「真説・長州力」1951‐2015(田崎健太 2015/07 集英社インターナショナル)、を読んだきっかけに長州力本とともに、読み進めることになってしまった一冊である。おそらく今回のプロレス本追っかけはこれが最後だろう。
5)「さよなら、サイレント・ネイビー」(伊東乾 2006/11 集英社)
「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」(増田俊也 2011/09新潮社)
「Get back、SUB!」 あるリトル・マガジンの魂(北沢夏音 2011/10 本の雑誌社)
などのノンフィクションを読んだときと同じように
「真説・長州力」1951‐2015(田崎健太 2015/07 集英社インターナショナル)
を読んだときは、それなりの感動に包まれた。
6)さて、この一連のいわゆる高橋本を読んだあとの感想は、というと、ノンフィクションというよりは、やはり内幕暴露本というべき方向性にあり、感動の度合いは薄い。そうだろうなぁ、そんなもんだろうなぁ、というようなアキラメがともなう読後感である。
7)そもそも当ブログは、エンターテイメントに対しては比較的手厳しい。エンターテイメントをエンターテイメントとして楽しむ心の余裕がやや欠けている、ともいえる。どうにかしなければ、とは思うが、持って生まれた気性ゆえ仕方ない。
8)マッチメイカーという「職業」や役割、その効用などについて、ほとんどの人は知らない。それはいわゆるプロレス興行の世界にだけ存在する役割であるし、プロレスファンなら誰でも知っていたという役割でもない。知らなければ知らないで済むし、本当は自分たちも知られたくない存在ではあったのである。
9)しかしながら、こうして表にでる限り、ある種の時限が来たのだろうし、明かしたなら明かしたなりに「効果」もあってしかるべきだろう。はてそれがどうであったのかは、すでに出版から14年も経過したあととあっては、リアルタイムに推し量ることはできない。その後のサッカーブームや野球の復興、バスケットボールリーグの成立などで、スポーツファン層もだいぶ変化している。少なくとも力道山時代のファンほど、21世紀のファンは幼くはない。21世紀は決してプロレスに対しても甘くはないだろう。
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