「反骨イズム」―長州力の光と影 辻 義就
「反骨イズム」 長州力の光と影
辻 義就 (著) 1997/12 アミューズブックス 単行本 245ページ
No.3775★★★★☆
1)この本を手に取ったのは、SNSつながりの誰かが、「真説・長州力1951-2015」(2015/07 集英社インターナショナル) に触れていたから。取り寄せ中だが、その前にこちらの本が先に届いた。
2)私はモノを知らない人間だと思う。長州力って、私よりもずっと若くて、今でも現役でファイトしているものと勝手に思っていた。しかしこうしてみると、彼は私よりも2学年上。しかも単なるプロレスラーではなくて、アマチュアプレスで国内チャンピオンばかりでなく、オリンピックにも出場したスポーツエリートだったのだ。
3) 1997年に出たこの本によれば、長州力はこの段階で引退したことになっている。え~そんなに早く引退したの???と思ったが、やはりネットで調べてみれば、その後の戦歴もあるのだった。
4)プロレスは、限界まで鍛え上げた肉体たちの素晴らしきショーとして観戦すべきである、との助言もあり、その「戦歴」については、どうのこうのとは、ここではいうまい。しかし、それは長州力の「光」の部分である。
5)この本においては、「影」の部分が書かれている。特に前半はそのことに費やされている。おそらくはそれまではあまりマスメディアには取り上げられてこなかった部分。その生い立ちについてである。
6)内容についてはとやかくは言うまい。彼の人生を決定づけているのは、日本で育った韓国二世という「在日」という事実である。そのこと自体を、彼自身どのようにして知ったか、どのように驚き、どのように受け止めてきたか。そしてそれをどのように乗り越えていったのか。
7)そして、彼個人を離れて、この地球上にある国籍や出生問題。誰もが地球人としてこの地上に生まれながら、いわれなき理由により苦しめられる。そして、それがあればこそ乗り越えていく人々もある。
8)長州力と言えば、ストロングスタイルというより、積極的にヒールにも転じるラフファイターとして、ラリアートを連発する流血レスラーというイメージしかなかった私は、この本で、初めて知ったことが、とても多かった。
9)この本、あまり期待しないで開いたが、一気に読んでしまった。目を本から離せなかった。最近の私は、もう本は読みたくないなぁ、面白い本はないなぁ、などという、中途半端な気分でいたが、いやぁ、その感想は、甘かった。まだまだ面白い本はたくさんあるぞ、そう思わせてくれた一冊。
10)彼関連のほかの本がくるのも楽しみだ。
11)書いているのはプロレス・アナウンサーの辻義就。この時代、こういう立場であればこそ、引き出すことができた真実であり、書き留めることができた本である。辻はなぜか私と同じ誕生日(蛇足)。
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