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2016/11/02

「WIRED VOL.9」 OPEN GOVERNMENT ひらかれた政府 デジタル時代の「ガヴァメント」<3>

 
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「WIRED VOL.9」 特集OPEN GOVERNMENT ひらかれた政府 デジタル時代の「ガヴァメント<3>
WIRED編集部 (編集) 2016/04 コンデナスト・ジャパン 雑誌(GQ JAPAN.2013年10月号増刊) 不定期刊版  WIRED関連リスト
★★★★★
 
1)「角川インターネット講座の中の伊藤穣一の小林正弥 に比肩するべき一文をこの雑誌から選ぶとすれば、池田純一「ガヴァメントをひらく」アメリカンデモクラシーの理想に向けてp118が最もふさわしいだろう。
 
2)ほかの「シヴィック・ハッカーが行政を変える」、「エストニアは、いかにしてデジタル・ガヴァナンスの最先進国となったか?」、「破綻都市デトロイト コミュニティ再生のスタートアップ」とならんで、この雑誌における「オープン・ガヴァメント」のレポートは、極めて実例的で、理想主義に飛躍しすぎてはいない。

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3)ある意味、当ブログの期待としては虚を突かれてしまうのだが、しかし、ないものねだりはできない。
4)人々の意識の総体としての社会意識が変わるなどと軽々に論じるべきではないが、オープンガヴァメントというムーブメントを通じて、ボトムアップの仲間意識、同朋意識が生まれることもあるだろう。
 
 それはまた自己統治(self-governance)の対象としてのselfの範囲を広げる点で、アメリカ的なデモクラシーの変容にもつながっていく。社会の変容に即してガヴァメントも変貌する。その変貌は周囲の環境に適応しただけのことで、いいことか悪いことかは事前にはわからない。
 その点で、オープンガヴァメントの実践を通じて、アメリカのガヴァメントは確かに進化することになる。むしろ、進化するための柔軟性を取り込むことが、オープンガヴァメントの目的なのだろう。p122池田純一「デモクラシーの理想形に向けて」
 
5)このイノヴェイションを標榜する雑誌は、技術や思想の楽観的方向性を広く見せてはくれるが、実務的でもあり、事実に即した現実性をひとつひとつ積み上げていく傾向がある。しかもこの池田純一という人は、アメリカの「先進例」を「日本」に紹介する、という役割を自ら進んで担っているようでもあり、ある意味面白みに欠ける。
 
6)さてと、少なくともこの号においては、なかなか一読者としてこちらが期待するような「開かれた国家」像というのは見えてこない。「そのテクノロジーは、会社や、銀行や、国家さえも壊してしまう(かもしれない)」と銘打つ、WIRED最新号VOL.25まで待たなければならないのかもしれない。
 
7)となると、暫定的に三誌三名の文章比較となったが、ここで改めて、次の三誌においての比較が必要となるだろう。
 
角川インターネット講座第15巻ネットで進化する人類」ビフォア/アフター・インターネット  伊藤穰一 監修
 
WIRED日本版VOL.25 特集 The Power of Blockchain ブロックチェーンは世界を変える2016/10 編集長・若林恵
 
講座スピリチュアル学第7巻「スピリチュアリティと宗教」2016/08
 
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8)この三誌は、シリーズにおける結句、あるいは最新刊にあたる。これらを比較してみることにも大いに意義がありそうだ。
 
9)ところで、池田純一という人、当ブログにおいても何度か登場している。とても刺激的であったり、もういいかな、と思ったり、視座の違いを感じることも多いが、注目しておくべき人ではある。
 
池田純一関連リスト
 
「ウェブ×ソーシャル×アメリカ」 <全球時代>の構想力(2011/03 講談社)
 
「デザインするテクノロジー」 情報加速社会が挑発する創造性(2012/10 青土社) 
 
「ウェブ文明論」(2013/05 新潮社)
 
「<未来>のつくり方」 シリコンバレーの航海する精神 (2015/05 講談社)
 
「WIRED VOL.9」 OPEN GOVERNMENT ひらかれた政府 デジタル時代の「ガヴァメント」(2016/04 コンデナスト・ジャパン) 
 
10)実は、スチュアート・ブランド 「地球の論点」 現実的な環境主義者のマニフェスト( 2011/06 英治出版)に気づいたのは、この池田氏の著書においてである。当ブログが現在多少の戸惑いを覚えながらもWIRED誌追っかけを続けているのは、実は、その「地球の論点」を読む込むための準備づくりなのである。

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11)そして、当ブログは当ブログなりに、この本に、わがマスターからのインスピレーションを対峙させてみようと思う。

「Mindfulness in the Modern World」 How Do I Make Meditation Part of Everyday Life? OSHO (2014/04 Griffin)

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つづく
 
 

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