「<インターネット>の次に来るもの」 未来を決める12の法則 ケヴィン・ケリー<18>
<17>からつづく
「<インターネット>の次に来るもの」 未来を決める12の法則 <18>
ケヴィン・ケリー (著), 服部 桂 (翻訳) 2016/07 NHK出版 単行本: 416ページ 目次
★★★★★
1)お正月にはこの本を読むぞ、と盛り上がっていたリストのうちのナンバー3に入る一冊ではあったが、今年のお正月休みは短い。あっという間に終わりに近づき、この本を再精読するまでには至らなかった。
2)されど、すでに一度精読しているので、2006年の梅田望夫の「ウェブ進化論」が当ブログのスタートだったとするなら、当ブログの到達点はこのケヴィン・ケリーの一冊だった、と締めてしまっても、なにも惜しくもないような爽やかな読後感がある。
3)前回この本についてメモしたのは2016/10/31、すでに二か月前の事だが、その時の結論は、カーツワイルの一冊、ケヴィン・ケリーの一冊、そしてOSHOの一冊、に結実していた。
4)この三冊の親和性は高い。少なくとも当ブログにおいては同根同テーマについて語られているシリーズだと見なすことは可能だ。だがしかし、それぞれに表現方法が違う。お正月も明けて、当ブログとしては今年はOSHOのこの一冊を精読する一年と定めたわけだが、その「現代世界」と銘打たれた時代性については、他の二冊が大きく関わっている。
5)カーツワイルは当ブログの立ち上げ時点よりも重いテーマとしてある。ケヴィン・ケリーもまた、その世代や編集者という志向性から、とにかくわが身には強い説得力を持つ。OSHOはわがマスターである。
6)一冊一冊、読み物としては重くのしかかってくる本たちではあるが、テーマそのものの方向性が見えているので、一行一行にこだわらくても、ひとつの同時代の指標として存在してくれるなら、それはそれでとてもありがたいことだと思う。
7)さて標題の「<インターネット>の次に来るもの」だが、この本においては決してその答えがズバリと書いてあるわけではない。その答えは自己撞着していて、結局「<インターネット>の次に来るもの」でしかない。つまりは、インターネットにどっぷりハマって、それを推進していくところにこそ次があるという、もはや完全明け渡しの状態を勧めているかのようだ。
8)パソコン、インターネットの次に来るものとして「ブロックチェーン」が熱く語られている。本書においては、ビットコインやブロックチェーンについては、明確に章立てて書いてあるわけではないが、5.ACCESSING(アクセシング)に詳しい。
9)結論部分に登場するわけではないが、この12のテクニックは必ずしも順番通りでてくるのではないので、決してブロックチェーンが「<インターネット>の次に来るもの」として、否定されている、というわけではない。
10)ケヴィン・ケリーといえど、完全無欠の預言者などではなく、間違いだらけの先駆者であってみれば、少なくともここで彼もまたブロックチェーンを取り上げている、ということを認知しておけば、それでいいだろう。
11)カーツワイルの本の前半部分から半ばまでは、まぁそれはそれとして付き合っておき、最終的な結論部分は、もはや「意識」についての考察に絞られている。結論とはいいがたいとするなら、すくなくとも、これは記しておかなければならない、という書き方であるにせよ、人間として最終的には「意識」にぶちあたざるを得ない。
12)その点、OSHOのすべての著書は、最初の最初から「意識」について語っているのであって、その言語化が不可能な領域を、時代を背景としながら語り続ける姿には強く惹かれるものがある。
13)ブロックチェーン・テクノロジーと意識では、あまりにもかけ離れた領域のようにも思えるが、インターネットが「全体」が、「全体」として存在することに全精力を傾けているかに見える反面、ブロックチェーンは、テクノロジーとしては「個」を強調する方向性を持っていくのではないか、という期待がある。
14)テクノロジーの全体化、意識の個化、そしてテクノロジーの個化、意識の全体化。言葉としては簡単に発想できるが、これらがどのような道筋をたどって進化していくのかは、今後のお楽しみである。
15)科学と意識についての関係はOSHOのこのレクチャーにきわめて明晰に語られている。最近のマインドフルネスの流行は決して正しい道筋で理解されてはいないけれども、少なくとも多くの人々がその方向に「意識」を集めていることには注目するに値いする。
16)大きな意味では、この中に「<インターネット>の次に来るもの」がある、と見るのが当ブログである。
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