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2017/01/24

「スタンフォード大学 マインドフルネス教室」スティーヴン・マーフィ重松<2>

<1>からつづく 

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「スタンフォード大学 マインドフルネス教室」 <2>
スティーヴン・マーフィ重松 (著),    坂井 純子 (翻訳) (2016/06講談社 単行本: 322ページ
★★★★★

1)二回目は、もうすこしゆっくりめくってみた。この方、何歳なのだろう。表紙の写真を見る限り、若い人なのかな、と思ったが、文面や動画でみる限り、結構な年輪を感じる。裏表紙の著者プロフィールやネットの人物紹介でも、徹底して生年が表記されていない。

2)マインドフルネスを磨く方法をようやく見つけたのは大学に入ってからだった。ちょうどこの頃、1975年には多くのアメリカ人に瞑想を紹介する革命的な本「The Relaxation Response(邦題:リラクセーション反応)」が出版された。執筆者はハーバード大学の研究者であるハーバート・ベンソンである。p31「第一章 念」

3)仮に1975年に20歳だったとするなら1955年生まれ。我が人生とそれほど大きく時代体験は違ってはいないだろう。アイルランド系アメリカ人の父と、日本人の母を持つハーフではあるが、本人は、どこかでハーフではなくホール(全体)だ、と言っている。

4)この本、もともとは英語なので、欧米人を読者想定して書かれたものだろうが、翻訳も優れていて、日本語として破綻していない。随所に日本や東洋文化の紹介があるが、もともとの日本語テキストを読んでいるような精緻さである。

5)しかしながら、いかに日本にルーツを持つ著者が、日本の文化を紹介しているとしても、伝えるべき相手が欧米人と想定している限り、文章の運びが違う。

6)そして、ここでは瞑想という言葉も使われているが、瞑想へたどり着くためのメソッドとしてのマインドフルネスなのだが、むしろ瞑想より「磨かれたもの」としてマインドフルネスが紹介されているようにも見受けられる。

7)基本は、お互い用語の意味合いをキチンと整合させないで理解しようとすれば、おのずと差異がでてきてしまうのは仕方ないが、それでもまだまだ、互いの整合性が保たれるまでには、相当の文化的成熟期間が必要とされるように思う。

8)そもそもは大学の先生なので、アメリカの学生たちが関心をもつようにつくりあげたカリキュラムであり、読む立場にとっては、かなりな屈折した使い方をしないとこの本はうまく使えない。

9)それぞれの章間にエクササイズが短文で書いてあり、8まである。これをマインドフルネスというのかどうかは、キチンと説明はされていないが、なるほど導入法としてはありうる。ないしは、マインドフルネスとは、このステップを限りなく精緻に作り上げた世界なのか。

10)次回、この書き込みで転写しておくことにする。

<3>につづく

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