「お経」 禅宗 横尾忠則(装丁)他<2>
「お経 禅宗」 <2>
桜井 秀雄 (著), 鎌田 茂雄 (著) 横尾忠則(装丁)1983/4 講談社 282p.
★★★★★
1)小賢しい論議や、煩わしい小技に振り回されていると、もうこの際オーソドックスな基本中の基本に戻ればいいじゃないか、という声がする。そこでいきなり「お経」に戻ってしまうのもどうかとは思うが、それもありだと直感する。
2)実に平易に一般の求めに応じて編集された小冊子であるので、よく法事で聞くような一般的なお経が納められていて、論議やら技法やらにとらわれない率直で実直な実態が移されている一冊である。
3)広く大きく開かれた法門であるがゆえに、どこからでも入れるという安心があるものの、その中にあっても、自らの縁を手繰っていけば、それほど曖昧なものではない。それぞれに因果応報の道があり、なるほど自分はここにつながっていたのか、と納得する道筋が見つかったりする。
4)宝鏡三昧や坐禅和讃など、あらためて目を通せば、ありがたくもあり、目がさめるような一説に突き当たり、行きつ戻りつする。
5)Very body the Buddha Very place the lotus paradise
当処即ち蓮華国 此の身即ち仏なり p208 「白隠禅師坐禅和讃」
道にありて、幾度となく耳にしてきている一句なれど、今改めて聞き直す。
6)巻末には、禅宗、曹洞宗、臨済宗、黄檗宗それぞれの来歴が記してあり、改めて眺めれば、40代50代にして没された偉大な先人たちは多い。すでに還暦した身においてみれば、なんの今更道を尋ねんとする我が身の滑稽さよ、と嘆かないわけではないが、いや待てよ。初心忘れるべからず。鈴木俊隆いうところのBeginner's Mind も大事大事と、念を押す。
7)法は人を見て説かれるもの。日本の一般衆生に向けた一冊がこの本なら、アメリカの青い目やら様々な国からやってきた人々に説かれるマインドフルネスの技法も、それはそれ、工夫がひとつもふたつも必要となろう。
8)されど、道はシンプル。隘路に嵌れば、また基本に戻って、最初の一歩からまた歩きだせばいいだろう。それが遅くもなく早くもなく、ちょうどよい時にたどり着く、一番いい方法だ。
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