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2017/01/20

「スタンフォード大学 マインドフルネス教室」スティーヴン・マーフィ重松<1>

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「スタンフォード大学 マインドフルネス教室」<1>
スティーヴン・マーフィ重松 (著),    坂井 純子 (翻訳) (2016/06講談社 単行本: 322ページ
No.3865★★★★★

1)出版以来、ずっと待っていた本である。ようやく私の順番が来た。さっそく手に取ってみる。パラパラと全体を触ってみて、どこかどんどん冷めていく自分がいる。あんなに待っていたのにな。

2)この本に対する私の評価は厳しい。いや、個別にこの本に対する評価が厳しいというより、マインドフルネスというものを本で知ろうとする、自らの態度に対して厳しい、と言い換えたほうが、より正確かも入れない。

3)本の内容としてはこれでいいのだろう。この人がこれ以上の何を書くことができるだろうか。あるいは、この本を必要としている人にとっては、ある意味、至れり尽くせりの良本ではないか。

4)そう、タイミングの問題だ。この本を必要としている人にとってはとても良い本だ。しかしタイミングが外れていれば、役に立たないクソ本となる。私はこの本のタイミングにいないのだろう。そして、私はマインドフルネスというキーワードで、この本になかった、なにか他の別のことを求めている。

5)もし、この本を読む私のベストタイミングというなら、今から30年前、インドから帰り、日本の社会の中で、どのように定着していくべきかを盛んに考えチャレンジしていた頃、あの頃、この本が欲しかった。

6)自ら経済的体制を整え、家庭環境を整え、時間に余裕を持たせ、カウンセリング研究所に通い、大学で臨床心理の勉強を再開し、電話相談員をしていた頃。セラピストとしての訓練を重ね、クラインアントと対面し、産業カウンセラーの認定を受け、公的施設での面談を重ねていた頃。

7)小学2年生の春休みに父が亡くなった。あの時漠然とした死という実態への直観。10代の頃、路上で売られていたミニコミに瞑想という文字を見つけた頃。近くの禅寺に通い、参禅の日々を送っていた頃。

8)探求の旅が始まり、編集活動の中でのネットワークづくり。そしてインドへの旅。帰国後、また学生生活が再開し、結婚もした。子供たちが生まれ、家庭生活が始まった。

9)あの頃までの私なら、きっと、この本はとても役にたったと思う。欲しかったけど、これほどまとまった本などなかった。だから手探りでさまざまな彷徨を繰り返した。

10)学生期、探求者期、帰依者期。仮にそのようなものがあるとするならば、まずは学生期にいる人々にとってこの本は良本である。現在ある本の中でもベスト本の中の一冊になる。探求者期にいる人々にとっては、自らのプロセスを検証するよい傍証となるだろう。

11)しかし、帰依者期にいる人々にとっては、最優先本とはならないだろう。若き人々が今現在どのような環境にあるのかを知り、また自らの若き日々を振り返る、というチャンスには使えるだろう。有効な使い道はある。

12)当ブログは帰依者期にいる。求められるべき世界は無限にあり、その歩みが止まることはない。何を求めるべきかは、あらかじめ分かっているわけではない。分かってしまっているのなら歩みそのものが不要のものとなる。

13)注意深く、周囲に目を凝らす。そしてそれを使って自らの中を見る。どんなものでも振り返りのチャンスにはなる。されど、きっともうそれは本の中にはないのである。

14)ないものねだりをしている時はもう過ぎている。本の中にないものを探す旅を、本を使って続けている。

<2>につづく

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