さとりサマーディにて<14>今日は何日?
さとりサマーディにて
<14>今日は何日? 目次
1)結論から言えば、母は意識を取り戻した。夜中にホームのベットから落ちて体に痛みを覚え、隣接する病院で手当てを受けてそのまま入院。検査や薬剤投与など繰り返しているうちに、痛みも強くなり、食欲も減退、ついに意識も途切れ途切れになってしまったのは一週間前。
2)95歳という年齢から考えれば、私達家族も親戚も最後の面会になる覚悟で病院に向かった。ついには食事もできず首を垂れてしまって、救急車で脳外科専門の大病院に搬送。MRIなどさまざまな検査が追加された。
3)しかし結果は、脳外科的には異常なし。見立ては、痛み止めが効いているのと、水分摂取が少ないので、夜中に薬が効きすぎるのではないか、と、もといた病院に戻された。
4)病院としては高齢ということもあり、医師からはさまざまな案内があった。このまま意識が戻らない場合は、食事摂取を胃婁に代えることもできるので家族でどうするか、相談しておいてください。このまま夜中に急変しても延命処置はしません。突然死もありうるので覚悟しておいてください。
5)家族親戚一同は、遠くに離れた親族に連絡したり、葬式の日取りを考えたり、果ては葬式用の写真の心配までする者までいた。万が一の場合、どこまで連絡すべきなのか。弔辞は誰に頼むのか。孫代表は誰がいいか。準備は静かに水面下で進んでいた。
6)だが、しかし。昨日、病室を訪れてみると、顔の赤みが戻ってきているようだ。以前、眠そうではあるが、足を組み替えたりしている。ちなみに食事は口から取れているようだ。「おかあさん、きたよ」と、ようやく聞こえる片耳にかたりかけてみる。
7)はい、ああ、来たの? と名前までいう。あれ~~、これはかなり意識が戻っている。痛いところもだいぶ減っていそうだ。付き添っている看護婦さんに聞いてみると、かなり食事もとれているようだ。
8)看護婦さんに、「今日は何日ですか?」と、一週間前の日付を言う。看護婦さんが、正確な日付を言うと、ああ、そうですか、と、うなづく。
9)普段から、日付は間違わない。間違っても一日くらい。曜日も一日くらい間違えることはある。ベットで寝たきりで、テレビラジオ新聞、すべてないので、それだけでも日にちをよく覚えているなぁ、と思っていた。だが、今日は、どうやら、一週間のズレがある。
10)これは、外から見た場合、ちょうど彼女は意識が一週間の間、混沌としてしたのではないか、と推測させる。痛み止めの他、睡眠のための薬も処方されていたようなので、それらの飲み合わせで、深い眠りの世界に耽溺していたのかもしれない。
11)なにはともあれ、安心した。山を越えた、という感じがする。インフルエンザの流行期ゆえ、病院外部からの出入りは、基本禁止されている。面会時間も長くは取れない。されど、こうして話しかけたりすることは、彼女の意識が正常に戻るためにはよい効果を表すのではないだろうか。
12)あんまり油断したりしていると、他の危険性も常にあるし、年齢ゆえ、突然何が起こっても仕方ない様態ではあるが、なにはともあれ、家族としては、ほっと肩の荷を落とせる瞬間である
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