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2017/02/26

「続・彫刻刀で楽しむ仏像」関侊雲他<21>

<20>からつづく

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「続・彫刻刀で楽しむ仏像」[釈迦如来・聖観音菩薩] <21>
関侊雲(監修), 河合宏介(写真)  2013/6/5 スタジオタッククリエイティブ 単行本 176ページ

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1)最初から、仏像を彫ってやろう、なんて大それたことを考えていたわけではない。そもそもは手作業は嫌いではなかったが、だいぶそんなことは忘れていた。

2)しかし3・11があって、友人・故石川裕人原作の演劇を見に行って、会場の地下にある図書館で「チキンの骨で恐竜をつくろう」という本を手に取った時から、何かが変わった。

3)自分の手が何かを作りたがっているのだ、ということに気づいた。それからいくつかの廃物アートが続いた。

4)ある時、近くの神社のお社が賽銭泥棒に遭う、という話が聞こえてきた。賽銭だけならまだしも、ひょっとすると、ご本尊さままで盗まれてしまうかもしれない、という。それは困ったことなので、お堂には写真を飾り、本尊はそれなりのところに仕舞いましょう、ということになった。

5)他に適任もいないということで、その写真を撮って飾る役割が私のところにやってきた。至って簡単な仕事ではあった。しかし、ちょっと考えた。写真じゃなくて、もっと手の込んだダミーでもいいんだろうがなぁ。

6)時を前後して、このお堂のご神木である樹齢1300年のカヤの木が、大きく繁殖し過ぎた時に、伸びすぎた枝を落とした間伐材があることを知った。たいした量ではないが、ご神木ゆえ、枝を輪切りにしてコースターが作られたりしたが、まだまだ余っていた。

7)しかし、他に利用方法もないので、やがて廃棄処分されることになっていた。そのことを小耳にはさんだ私は、ちょっと待った、その間伐材、私にください、とお願いした。

8)そういう経緯があって、1年も経過したあたりで、私は、空いた木箱を利用した五重塔の模型を作った。一年前のことである。大変な作業であったが、4か月ほどでそれなりの形になった。模型製作の過程で、いろいろなことを学んだ。なるほど、と思うことがいっぱいあった。

9)そういう素地があったからだろうか、あの樹齢1300年のカヤの木で、仏像を作ってみるのはどうだろう、と思いついた。最初、そんなことは、とてもとても、できるとは思わなかった。時あたかも、巣立った子供達が部屋に残していった彫刻刀セットが3つも出てきた。諦めてはいたが、思いついた時、部分部分ではあるが、少しづつ切ったり削ったりしているうちに、しだいに我が薬師如来のお姿は湧き出で始まった。

10)まだ、その途中である。やってみたいことのまだ50%もできていない。進めば進むほど、手は止まる。分からなくなると、いろいろ調べたり、瞑想する。いろいろな直観が湧いてくる。少しづつ、少しづつ、形を取り始める。

11)おそらく完成という時はこないのではないか、と思うほど、仏像制作の世界は奥が深い。もっともっといろいろな学びが必要だ。しかし、私にとっては、ああ、ここでもう十分かな、と思える地点も来るかもしれない。

12)その時をイメージしながら、手を休め休め、目を閉じたり、開いたりしながら、作業を進めている。

<22>につづく

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