« 「熊野信仰と東北」 名宝でたどる祈りの歴史 | トップページ | 「熊野神社歴訪」 宇井 邦夫 »

2017/02/12

「おらが名取の『言い伝え』」 名取市農業協同組合

Img_8566
「おらが
名取の『言い伝え』」
名取市農業協同組合 年代不明 B5版 64ページ 名取市図書館所蔵 
No.3890★★★★☆

1)「十二神の地名の由来」 熊野堂 伊藤わくり(70歳)

 本宮社は元、「薬師堂十二社権現」と申しておりました。薬師堂とは薬師如来をお祀りしているお堂のことで、薬師如来には十二の脇侍の神将がその如来様の脇に控えているのが定まりです。そのことから「十二神」という部落の名が生まれたと聞いています。参考までに十二神将とは次の神様達です。

一、クビラ大将
二、バザラ大将
三、メキラ大将
四、アンチラ大将
五、アニラ大将
六、サンチラ大将
七、イングラ大将
八、ハイラ大将
九、マコラ大将
十、シンダラ大将
十一、ショウトラ大将
十二、ビガラ大将

 この十二神将は、薬師如来の信仰者を守護する役目を与えられた神々で、その頭には十二支の子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥を載せています。

 本宮社のご本尊の周りにお建ちになっている小さなお宮には、各々二柱の神様がお祀りされているそうです。

 薬師如来様の信仰は諸悪病を除くという効能・ご利益があるとされて病気を治す神様なのです。十二神様は人間の病ばかり治すのではなく、農作物、とくに稲の病虫害を除くという御利益があるとされ、昔は「烏牛王」(からすご)という御幣を苗代作りの頃部落の氏子に頒布していました。

 この御幣を苗代の水口に挿して、今年の豊作を祈念していた習わしがありました。ありがたいことでした。終わり。(高舘十二神老人クラブ所属)p14

2)この文章を読む限り、名取熊野新宮の本地仏ばかりか、名取熊野本宮もまた薬師如来との縁が深く、「薬師堂」とまで呼ばれていることが分かる。

3)私たちは同じ市内ながら離れた地区だったので、この地域のことを「クマンド」と呼び習わしていたものだが、この地域の中にあっては、さらに細かく呼称がついていたのだろう。

4)それにしても、お薬師様は人気があるものだ。

5)残念ながらこの自主出版のパンフレットには発行年が記していない。1988~1990年頃に発行されたものと推測される。その当時の70歳とすれば、現在の2017年からさかのぼること100年くらい前に生まれた方だろうか。

|

« 「熊野信仰と東北」 名宝でたどる祈りの歴史 | トップページ | 「熊野神社歴訪」 宇井 邦夫 »

08)Mindfulness in the Modern World」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「おらが名取の『言い伝え』」 名取市農業協同組合:

« 「熊野信仰と東北」 名宝でたどる祈りの歴史 | トップページ | 「熊野神社歴訪」 宇井 邦夫 »