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2017/03/02

さとりサマーディにて<17>せん妄

<16>からつづく 

さとりサマーディにて

<17>せん妄       目次 

1)病室に入ってみると、点滴台がなくなっていた。針も腕から抜いたという。ベットの上で寝ているのは同じだが、かなり寝相が自由だ。いままでの窮屈だった姿勢がだいぶ緩やかになっていた。

2)声をかけてみると、なんだか以前より耳が聞こえるようになったように思う。すでに白内障でほとんど反応しなくなっていた両眼だが、一生懸命開こうとする。見えてはいないのだろうが、光はひょっとすると戻っているのかもしれない。

3)「オルゴールがない」という。うん? オルゴールなんてもともとないよ。まだ夢の中なのか。枕元をゴソゴソするので、「ナースコールボタンのこと?」と聞いたら、どうやらその言い間違いだったらしい。

4)ホームにいた時は、ナースコールボタンは定位置にあったため、そこにあるのが当たり前だと思っているようだ。ティッシュボックスも定位置にセットし、反対サイドには、ごみ用の袋を下げた。ホームでの生活がかなり戻ってきたようだ。

5)リハビリと称する簡単なマッサージも受けたようで、治療師の方は、南三陸出身のだれだれさんという男性だった、とキチンと記憶している。かなり戻ってきているのだ。第三者との会話も成り立っているようだ。

6)「どうして、林の中に行って、草を片付けていたんだろう?」と聞く。「いや、今じゃなくて、昨日あたりまで・・・」。いや、ずっとベットの上にいたんだよ。林の中に行って、草なんか片付けていないよ。

7)どうやら生家の屋敷林にあったお社の回りを掃除していたらしい。

8)「あれは、妄想かな・・?」。 妄想とはあまりにもかわいそうだから、痛み止めとか使っていたから、夢でもみていたんじゃない。「ああ、夢だったのか・・・・・・」

9)どうやら、自分で妄想と言ったのは、必ずしも遠い表現ではないかもしれない。帰宅してから家族に話したら、「それは、せん妄、って言うんじゃない?」という。

10)せん妄? 早速ググってみると、譫妄、と書くらしい。

11)せん妄(譫妄、せんもう、英:delirium)は、意識混濁や奇妙で脅迫的な思考に加えて幻覚や錯覚が見られるような状態。健康な人でも寝ている人を強引に起こすと同じ症状を起こす。ICUやCCUで管理されている患者によく起こる。 

急激な精神運動興奮(カテーテルを引き抜くなど)や、問診上明らかな見当識障害で気がつかれることが多い。大手術後の患者(術後せん妄)、アルツハイマー病、脳卒中、代謝障害、アルコール依存症の患者にもみられる。通常は対症療法が行われる。wikipedia

12)なるほど、そうであったか。顔色もいいし、体はだいぶ戻ったように思うが、意識はまだ、ここにあらずなのかもしれない。それにしても、最近聞いた、意識の話は面白かった。彼女の意識は、どこに行っていたのだろう。

Photo_2
13)これまで、食事がとれなくなり、もう、手段は胃婁しかない、と言われるかと恐れていた家族一同だったが、食欲もだいぶ戻ってきたようだ。「ごはんもいっぱい食べたほうがいいよ」と言われて、「今日は何か持ってきたの?」とまでいうようになった。この病院は食べ物の持ち込みは原則禁止なのだが(笑)。

14)先日は、救急車で脳神経外科に運ばれてMRIを受けたことも、まったく認知していないようだ。まだ、以前のままでないが、このまま回復を続ければ、ひと月前までいたホームのベットに戻れるのではないか。家族としては、そんなことも少しは期待してもいいのだろうか。

<18>につづく

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