「ぼけたらあかん長生きしなはれ」 天牛将富<2>/さとりサマーディにて<21>
「 すきま風/ぼけたらあかん長生きしなはれ」 <2>
杉良太郎(唄) 天牛将富(詞) 遠藤実(曲) リリース 1997年 形式: CD
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<20>からつづく
さとりサマーディにて
<21> 目次
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1)最近なぜか当ブログにおいては、この曲にアクセスが集中している。どうかすると人気記事のトップに登場する。記録はとっていないが、今年に入ってからのベスト3には入るのではないか、という勢いである。
2)この曲、還暦も過ぎたばかりの我が身や、我が同輩たちには、タイミングとしてはぴったりだとは思うが、はてさて、95歳の、すでに食事もうんちも寝返りもひとりではどうにもできない老婆にとっては、どんなもんでありましょう。
3)さとりサマディに入ったばかりの時、テレビもラジオも新聞も、何もない部屋に横になっているのはつらかろう、と、イヤフォンで、この唄を聞かせたことがあった。ひとつは年々遠くなっている耳の聴覚テストのつもりだったし、ひょっとすると耳垢が詰まっているので、耳鼻科にいく必要があるかどうかのチェックでもあったのである。
4)自宅にいるときは、耳元にラジオをおいて、大きなボリュームで一日ラジオを聞いていたので、結構世の中のことは明るかった。ニュースなどは何度も繰り返し聞いているので、カタカナ語なども覚え、質問されるこちらの方がうろたえることもしばしばだった。
5)アルツファイマーって、ナニ? と聞かれて、それはあんたのことだよ、と言ってしまったことがある。言ってしまってから、失敗、と思ったが、彼女にはよく伝わっていなかったようだ。いや、彼女はアルツファイマーではあるまい。いわゆるボケてはいない。
7)耳は遠いし、光も明るいか暗いかの判断くらい。すでにホームに入ってからはひとりでトイレには行けないし、車いすの乗り降りもほとんど自力では不可能。でも、ボケてはいない。
8)かつては親戚やら友人やらの名前や誕生日、はてはその子供の名前や孫までも、ひととおり覚えていて、ひとつひとつ見舞客の身辺を言い当てるほどの記憶力である。さとりコンピュータの綽名も伊達ではない。
9)その彼女のハードディスクの容量が増えたとは思えないし、CPUの速度も上がったとは思えないし、もうちょっとRAMも古くなったかな、とは感じるが、期待値を大きくしなければ、まだまだ使える。
10)しかし、単独の計算機としては使えるかもしれないが、今や周辺機器との整合性がかなりズレてしまっている。スタンドアローンでは使えないのだ。ネットワークにうまくハマらないと、意味をなさない。
11)見舞いや面会にきた嫁や孫や、はては孫嫁や、ひ孫に対して、さまざまな記憶媒体から、あれこれ取り出しては、ディスプレイにアップしてくるが、対して、それを提供された仮称ユーザーたちにとっては、なんの役にも立たない情報でしかない場合が多い。
12)かなり有効なこともある。へぇー、そういうこともあったの? とビックリすることもあるが、残念ながら、それを検証することができない。現代なら、面白い情報があれば、それについて検索してみれば、類似の情報がドッと出てきて、その信ぴょう性を図ることができる。
13)しかし・・・・・。彼女の情報は検証性不可能なばかりか、不要不急な情報が入り混じっており、仮称ユーザーのニーズに即していない。一方的な、おしゃべりボックスと化してしまうことが多いのである。
14)ぼけたらあかん、長生きしなはれや。たしかに彼女はボケてはいない。そして95歳と言えば、まぁ、平均寿命よりも10年は長生きしている。しかし市内の最長寿の人は、さらに10歳年上だというから、まだまだ、これで十分とはいいがたい。
15)イヤフォンで流した、このスギ様の唄も、みなまで聞かず、もういい、と耳から外してしまった。音量テストとしては成功だが、このニュアンスを伝えることは、どうやら完全に失敗したようである。
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