「日本会議の研究」 菅野 完 <3>
<2>からつづく
「日本会議の研究」 <3>
菅野 完 (著) 2016/04 扶桑社 新書 302ページ
★★★☆☆
1)午前中、参議院でのカゴイケ証人の意見をテレビでほとんど聞いた。午後は衆議院の同人の証言を聞いている。今の気持ちを率直にメモしておこう。
2)まず、証人の誕生日を聞いて驚いた。私と同じ学年なのである。仮にこれが、わが同級生であったなら、おお、すごい奴だなぁ、と素直に思う。こんな環境のなかで、こんなにスラスラと答えることなどできる奴は少ないと思う。
3)この人が素直に、天皇を中心とした国家像というものを「美しい日本」の原型だと思うのなら、そう思うということ自体、へぇ~、そうなんだぁ、と、私は口をつぐむ。
4)そして、マスメディアだけではなく、それについてのSNSなどの個人メディアなどを含め、いい加減な情報を聞いているよりは、はるかに背筋が伸びるような話だなぁ、と思う。
5)私個人としては、若い時分、何かを守る「大義」があるなら、そのことに自らの命を捧げる、ということもあっていいのではないか、と思った。その大義とは、例えば革命とか、あるいは使命とか、ミッションとかの役割として、一人一殺的な、かなりテロルな情念が湧いてきたことはあった。あるいは、そのような心情が、まったくわからないわけじゃない。
6)インドから帰ってきて25歳の時に大病をわずらい、ああ、これで死ぬのかな、と感じた時、結婚もしていなかったし、やるべき仕事もやってしまった後だったので、このまま死んでもいいかなぁ、と思った。
7)だが、そのあと結婚し、子供も生まれ、やりかけた仕事ができてからは、極端に心境は反転した。死んではだめだな、のたれ死になったとしても、なんとかかんとか長生きしなければならない、と執着が湧いてきた。
8)若い時に、時代が時代なら、お国のために死んでいい、と思ったかもしれない。思っただけで、実際は、臆病風が吹いて、何にもできなかったかもしれない。もちろん何もできなかった方の確率が高い。でも、そういう意見や意志を持っている、という人がいるということはわかるし、そういう人の意見は、遠巻きにしながら、聞いてもいい。。
9)でもしかし、この21世紀の初めにあたって、お国のために命を捧げる、というのは違うと思う。私の命などもうほとんど役には立たないが、私の子供や、孫や、さらにその子孫たちが、そのような「美しい」文言に揺り動かされて、自分の人生を棒に振ってほしくない。自分の人生を大事にしてほしい。
10)教育勅語の「美文」の本質をキチンと理解し、決して世の中を戦前のようなものにしてはいけない。そうしたいと思う人がいるのは仕方ない。だが私はそう思わない、ということを主張するしかないし、反対意見の人にも尊重してほしい。
11)私は、私と同じ年齢のカゴイケ証人が、彼流の教育理念にのっとって幼児教育や小学教育を「したい」と思うのは、わかるとしても、そう「してはならない」と思う。なぜなら、カゴイケ証人自身が、お国のために命を捧げるのは構わないが、これから生まれてくるような、新しい命に対して、そのような思想を刷り込んではならない、と思うからだ。
12)刷り込みに関しては、もちろん、私のような考え方も刷り込んではならないと思う。一定程度、証人のような意見を、自然発生的に持ちうる子供だって、いるかもしれない。
13)消防や、警察や、自衛隊、あるいは軍隊、と言ったものが、この世に存在しているからこそ、このようなブログを存続させていることのできる私がいる。だから、彼らの存在が、まったく疎ましいなどとは思わない。ある一定程度、そのような人々が存在することは、必要だと思うし、尊重すべきだと思う。
14)私は、ある一定期間、自衛隊基地内のカウンセラーを務めたことがある。自衛隊員や家族の人々と触れ合うことが任務だった。自衛官になった友人もいるし、3・11以降の自衛隊のみなさん活躍には、多いに感謝した。
15)しかし、この時期におよんで、教育勅語を基本とした天皇制の国家を作って、美しい、なんて嘆息していることはできない。
16)カゴイケ証人の問答を聞いていて、そんなことを思っていた。安倍晋三首相も、私と同じ年の生まれだ。あの人のやろうとしていることには賛成できない。
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