「ビート読本」ビート・ジェネレーション 60年代アメリカン・カルチャーへのパスポート /「ホワイトアルバム」 転生魂多火手伝 <7>
「ビート読本」ビート・ジェネレーション 60年代アメリカン・カルチャーへのパスポート
現代詩手帖特集版 1992/07 思潮社 単行本: 408ページ
No.3914★★★★☆
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<6>からつづく
「ホワイトアルバム」 転生魂多火手伝
<7>ビート 目次
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1)この本でいちばん困るのは、文字が小さいこと。還暦越えの我が両眼にはぜんぜんやさしくない。ベットの暗がりで読むようなことがあったら、もう絶望的な状況だ。まぁ、そんだけたくさんの情報が、小さな文字で詰め込んである、ということでもある。
2)ビート・ジェネレーションと言えば、アレン・ギンズバーグ、ジャック・ケルアック、ローレンス・ファーリンゲッティ・・・・などの名がすぐに挙げられるだろうが、ゲーリー・スナイダーはどうだろうか。
広義に解されれば含められるだろうが、狭義なら入らないにちがいない。片足だけ中に突込みもう片方は外に向いているような感じがする。少なくとも彼は中心にいた人物ではなかった。
それは彼が実際その最盛期に日本に来てしまったこともあるし、それ以上に彼の思想や生き方にビート・ジェネレーションの超純粋な部分に納まりきれない何かがあった。その何かとは彼の場合、エコロジー思想への発展ではなかったかと思われる。
現代社会に打ちのめされ、くたくたになりながら生命のリズミカルな躍動ビートにスウィングし、「至福(beatific)」を得る道を必死で模索したのがビート・ジェネレーションだとすれば、スナイダーは彼らと始まりは一にしながらも、その「至福」、つまり新しい価値観の模索の過程において別の道へ歩んでいったのではないだろうか。p226菊池裕子「ゲーリー・スナイダーのエコロジー思想」
3)D追跡プロジェクトの中で出会った一冊であり、クロード・ブラウンが交通事故で亡くなった1956年よりさらに3年前の1953年に光を当てる限り、ジャズシーンはともかく、ビート・ジェネレーションについては、やや引いて眺めておく必要がある。
4)少なくとも、ケルアックの「路上」がヴァイキング社から出版されてベスト・セラーになるのは1956年のこととなる。書き上げていたのは1951年のこと。路上の体験そのものは40年代末のことであっただろう。
5)ナナオ アレンはそれほど自然そのものに興味はない。多少は僕と一緒に山を歩いたこともある。ゲーリーと一緒に歩いたこともある。僕はなるべく自然の中にひっぱりだしたい方だからね。
でもアレンはそんなに深入りしていない。アレンは本当に人間が好きな人だから、人間だけで手いっぱいという感じです。非常にあったかい。(中略)
ナナオ アレンは人間の中の自然に深く入っている。僕はそう思う。で、ゲーリーという人は非常にバランスがいい。僕は余りバランスがよくないですよ。僕はコヨーテの方へ行って、人間のことを忘れちゃったりするから(笑)。
アレンは人間を通じて自然と深く関わってタイプだから、アレンがいるというだけでまわりが何となくあったかくなる、物すごいよ。サンフランシスコにアレンが来ているらしい、とカリフォニアのどこかに情報が張るじゃない。すると何となくサンフランシスコがあったかくなって見えてくるんだよな。そういう人なんだ。
だから彼は、別に山へ行かなくても、砂漠へ行かなくてもいいの。彼は人間との関わり合いの中であったかさが出て来るから、僕は非常に素晴らしいと思うし、ニューヨークへ行くと、いつも彼のところでゴロゴロしたくなるね。それでいいんだ。彼のところを自分の家だと思っているしね。p331ナナオ・サカキ インタビュー”「アメリカン・ドリーム”の国で」
6)さすがナナオ。よく見ている。アレン・ギンズバーグは人間が好きで、ゲーリー・スナイダーはバランスよく人間と自然が好きで、ナナオ自身は人間よりむしろコヨーテ(自然)のほうが好き、と言っている。自分のこともよく見えていますね。
7)この本、「読本」というだけあって、雑多な情報が満載だし、老眼を理由にして、全ページに目を通したわけではないが、ケルアックの「路上」をきっかけとしながら、スナイダーへと立ち位置をスライドさせていければいいなぁ、と思う。
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