「騎士団長殺し」 :第2部 遷ろうメタファー編 村上 春樹 <7>
「騎士団長殺し」 :第2部 遷ろうメタファー編 <7>
村上 春樹 (著) 2017/02 新潮社 単行本: 544ページ
★☆☆☆☆
1)申し訳ないが(別段、誰にあやまる必要もないのだが)、最後の6分の1は飛ばし読みになった。読まなかったと言ってもいい。ただページをめくっただけだ。
2)謎かけをするだけしておいて、最期の帳尻を合わせるために、あれこれ算段したからとして、それが読む者のハートを撃ち、感動を与えることができるのだ、と作者は思っているのであろうか。
3)トヨタ・プリウスだ。ジャガーだ、ボルボだ、ミニクーパーだ、とやたらと実名を出して、リアリティを演出しておきながら、結局は、イデアだとかメタファーだとかで、逃げる。この手は汚い。
4)この小説家がノーベル文学賞を受賞できない理由がわかった気がする。仮に将来に渡ってノーベル文学賞とやらを受賞したとしても、私はノーベル文学賞とはなんとつまらないものだろう、と結論づけるだろう。すくなくとも、佐藤栄作がノーベル平和賞を受賞した時以来、ノーベル賞なんて関心を持っていない。
5)世界遺産に、どこぞの島は対象になって、その遥拝所は除くとか、付け加えるとかのニュースをやっていた。アホらしい。地球全部を世界遺産にすればいいじゃないか。ここだけは価値があって、ここ以外は価値ないよ、という態度は、そもそもの世界遺産構想に反する。
6)ノーベル賞を贈るなら、地球人全部に贈ればいい。キミは価値があって、キミは価値ないよ、なんて、言えるわけないじゃないか。誰もがノーベル賞以上の価値がある。爆弾屋の遺産がなければ生きていけないなんて地球人は、地上には一人もいないはずだ。
7)一体全体、秋川まりえの父親はどうなったのか。読み飛ばしたところにでも書いてあったのだろうか。それとも、第3部、第4部への伏線として、単に仕込んでおいただけなのだろうか。おそらく、私はもうこれ以上、この小説には付き合うつもりはないので、仮に続編がでたとしても、読まないだろう。
8)多少は名が売れたのであろう作家の、妄想的な文章にリアリティをもたらすために、最後の最後あたりに3・11のことがチラッと書いてあったりすることすら、腹ただしい。取り組む姿勢というものが、まったく違う。
9)私はそもそも、あまり期待しないで、だからね、期待しないんだよ、ということを証明するために、わざわざこの小説を読むことにした。だが、他の読者のことはわからない。少なくとも、うちの奥さんがこの小説を読まないことになっても、ぜんぜん笑わない。読む必要などないと思う。どうだった?と質問されれば、ふん、と言ってやろう。
10)あとは、読むか読まないか、途中で放り出すか、出さないかは、ご自分次第だろう。すくなくとも、私は勧めない。
おわり
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