「人工知能のための哲学塾」三宅 陽一郎<1>
「人工知能のための哲学塾」 <1>
三宅 陽一郎 (著) 2016/08 ビー・エヌ・エヌ新社 単行本: 320ページ
No.4021★★☆☆☆
1)死に際して、何かやり残したことはないか、と問われれば、ない、と答える時と、ある、と答える時があるだろう。それはタイミングの問題だ。ない、というのが本望であり、すでに終わっている、と表向きは答えておきたい。
2)されど、もしあると答えるとすれば、それは本音であり、あれもやりたかった、これもやりたかったの連続であることは間違いない。やりたいけどできない。能力的に。資力的に。時間的に。方向的に。そんなことは山ほどある。
3)そんなやり残したことの中に、もうちょっとまともなプログラムをもうひとつふたつ作りたかったな、という思いと、いわゆる哲学なるものを、もうすこしレイヤーを一段深めたかった、ということがある。
4)プログラムで言えば、例のポケットコンピュータのBASIC言語をちょっと復活してみようかな、という思いと、型式が古くなって天井階で眠っている何台かの旧いPCに最新のリナックスを入れてみようかな、という程度で、もう大きな野望はなにもない。
5)哲学で言えば、デカルトから始まって、ニーチェ、フッサールや、ハイディガー、ウィトゲンシュタイン、デリダ、ガタリ、などなどを漠然と押さえておけばそれでいいだろう。そもそもはソクラテスやプラトンからスタートすべきなのだが、どうも現代西洋哲学は、暗い。
6)月のない夜に、窓のない家の中で、目の見えない人が、その部屋にいない、黒い猫を探している。そう表現したのはOSHOだが、人生最初の最初からそういわれてしまうと、もう苦労して哲学しても、その後になにもないのでは救われない。だから哲学はしない。そう早々と結論づけたわが人生だった。
7)この本、図書館の新刊コーナーで見つけたのだが、なかなかに興味深い。その本の前を素通りできない魅力を放っている。されど、わが志向性のなかにうまく取り入ってくれるだろうか。
8)この本においては、哲学と人口知能の間に、ゲームやそのキャラクターづくりが挟まっている。ゲームに関心あるならばこの本は面白かろう。だが、将棋やオセロ、麻雀などのボードゲーム以上に関心のない私には、ゲーム上のキャラづくりには縁遠い。
9)この本、面白かろうが、この本を読み解くには時間がかかる。リンク先からさまざまな資料を集めていろいろ取り入れたくなる。それには能力だけではなく、体力も気力も、時間も必要となる。
10)わが人生においては、もっと優先順位があるのではないか、と考えて思い直すのは、そもそも読解力がないから、その言い訳にすぎないのだが、ほかにもやりたいこと、やらなければならないことはあるので、そちらを優先することにする。
11)最近は、十数年前に開きかけた本「哲学の冒険」をまたチェックしている。この本では10本のSF映画と哲学が関連づけられていて、その映画群を見るのに10年かかったということである。それでもまだ見ていない映画もある。なにはともあれ、わが哲学ロードはこちらが先だ。
「哲学の冒険」『マトリックス』でデカルトが解る <2>
マーク・ローランズ /石塚あおい 2004/12 集英社インターナショナル /集英社
12)あちらがどう展開するかにもよるが、うまく転がすことができれば、いずれこちらの「人工知能のための哲学塾」なるものも、再度開いてみることにしよう。
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