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2017/09/24

「日本文化をよむ」 5つのキーワード 藤田 正勝 <1>

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「日本文化をよむ」 5つのキーワード <1>
藤田 正勝 (著) 2017/08 岩波書店 新書: 224ページ
No.4059★★★★★

 

 心悪無常花風雅ちきゅうじん 把不住

 まさにこの時期に私が読むべき一冊がこの本であった。

 五つのキーワードを、心、悪、無常、花、風雅、とし、終章では世界主義とした。人物としては、西行、親鸞、鴨長明+吉田兼好、世阿弥、芭蕉を対応させているが、登場する人物はもう少し多い。例えば親鸞の項は親鸞+道元としてもいいだろう。また最終章では西田幾多郎を登場させているが、西田幾多郎+鈴木大拙としてもいいだろう。

 さらには、一読者としては、西行にさかのぼる部分に、縄文文化やホツマツタエを前置するのが面白かろうと思ったし、西田幾多郎+鈴木大拙のあとには、わがOSHOに収斂されるべきであろう、と感じた。

 縄文→ホツマ→西行→親鸞→道元→長明→世阿弥→芭蕉→大拙→OSHO、と組み直すことができるなら、個人的には、もっとすっきりする。そして五つのキーワードを、さらに英語的に勘案するとなれば、Heart、Meditation、Nowhere、Art、Nature、と置き換えることも可能であろう。あるいは、この読み替えがないと、日本文化→地球文化の今日性が見えてこない。

 近々、藤原実方中将の墓前歌会がある。ここに、西行、芭蕉、を感ずることができる。時を同じくして名取老女の能の舞台がある。ここにはまさに世阿弥がやってくるだろう。あるいは隣接する禅寺では、そのサンガが広がりを見せ始めている。ひとつらなりのものとして、アルファを縄文とし、オメガをOSHOとする貫通した精神史が、そこにはある。

 もちろん、その時は、日本文化、とは呼ばないだろう。この本に書かれている精神史は確かに日本文化そのものであるが、それを挟むアルファとオメガを設置することによって、この本は、地球文化を読む、とタイトルを替えることさえできるであろう。

 この程度のコンパクトな新書本というものは、実に読みやすい。内容を落とさずして、このように読み切り可能な量に盛られることが、当ブログにとっては、実に最適であると感じられる。

 されど、この一冊で足りてしまうとは思われない。エッセンスであるならば、さらにエッセンスを煎じて、一句にまでたどり着く道もあるであろう。また、登場してくる多くの著作物について、この本をインデックスとして、さらに関連書物に進んでいくことも可能であろう。

<2>につづく

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