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2018/01/21

「日本文化をよむ」 5つのキーワード 藤田 正勝<2>

<1>からつづく 

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「日本文化をよむ」 5つのキーワード <2>
藤田 正勝 (著) 2017/08 岩波書店 新書: 224ページ
★★★★★

1)沖本克己「禅・沈黙と饒舌の仏教史」(2017/12講談社)、あるいは並川 孝儀「ブッダたちの仏教」(2017/12 筑摩書房)を酷評しておきながら、この藤田 正勝「日本文化をよむ」 5つのキーワード( 2017/08 岩波書店)に赤★5評価を与えている自分を興味深く思う。

2)この本とて、決して読みやすい本ではない。キーワードに隠された、もっと広い世界へのインデックスは、数え始まればキリがないほど多い。されど、この本によって導かれる世界を、私は敢えて、新しいもの、新鮮なも、重要なもの、と感じているようだ。

3)全書百科的に網羅された知識などは必要ない。それだけ記憶し続ける許容量もなければ、パトスもない。そのことに意義を感じられない。されど、せめて、こちらのこの本に表現されている程度の骨格は、必要だろう。一現代人として、必要な教養とさえいえるだろう、そう思える。

4)にも関わらず、私はこの本を一気には読めない。こんなに薄い、新書本一冊なのに、私には膨大なウェイトに感じられる。体裁がシンプルだけに、その重みが数倍、数十倍、数百倍に感じられて仕方ない。

5)つまり、膨大な主旨を、実にコンパクトなストーリーにしてしまったのが、この本と言えるだろう。この本は、インデックスのインデックス、されど必要かつ充分な質実を持っているといえるだろう。

6)そしてなお、この本一冊では満足できない私がいる。この本に書かれなかった著者の意図を、他の著書に求める、という意味ではない。この小さな本が、カットしてしまったのは、何も膨大な経典類だけではない。西行以前のスピリチュアリティ、西田幾多郎以後のスピリチュアリティ、そこんとこを、私は私なりに補完して読み直さなければならないのである。

7)学ぶべきは、そのコンパクトにまとめ上げる技量、テクニック、技法。そして、他の項目への関連性の作り方。つまり、常に一貫して、自らの視点を、明確に意識つつ、それでもなおかつ複眼的に歩み続ける姿である。

8)この本、一気には読み切れない。自らの感想を整理しつつ、もうすこしパラパラし、じっくりと時間をかけて、眺め続けたい。

<3>につづく

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