「鈴木大拙コロンビア大学セミナー講義」<5>
「鈴木大拙コロンビア大学セミナー講義」 上巻
鈴木大拙 (著), 重松宗育 (その他), 常盤義伸 (その他) 2017/11 出版社: オクターブ 単行本: 246ページ
★★★★★
1)当時のアメリカは、物質文明、機械文明のもたらした経済的繁栄を享受する一方で、チャップリンの「モダンタイムズ」に描かれたような多くの問題をはらんでいた。しかし、そんな矛盾に目を閉ざしてよしとする「フォーニー」な大人たちに対して、違和感を抱き反抗する若者たちが現れた。
のちに日本で仏教伝道文化賞を受けたゲーリー・スナイダーをはじめとするビート世代や、さらに後につづく良質なヒッピーたちが、自然環境保護をめざすエコロジー運動など、カウンターカルチャーへの原動力となてゆく。ちなみにスナイダーの進路を決定づけた大拙の書との出会いは、この1951年のことだった。上P5「はじめに」
2)1951年。それからきっちり30年経過した1981年にOSHOはアメリカの地を踏んだ。大拙からOSHOへと直接にはつながらないものの、その存在の意味的なものはかなり等質なものがある。5年間の滞在のあと、1985年にアメリカをOSHOが離れたあと、すでに34年。時間の経過とは、このくらいの質感なのか。
3)仏陀→摩訶迦葉→菩提達磨の系譜も中国に至っても、決して即座に受け入れれたわけではない。達磨→慧可の弟子筋の六祖慧能に至ってようやく、禅宗としての姿が整っていったのである。
4)80歳を超えた晩年の大拙がニューヨークに腰を落ち着け、精力的に講義を続けた努力は限りなく尊い。大拙の生涯のなかでも、D・T・スズキの業績として重要な1950年代、ニューヨーク滞在時代の活動は、今後、さらに評価されるべきである。
大拙のコロンビア大学セミナー講義からすでに半世紀以上が過ぎ、今や禅は世界中に広まっている。海外において、禅はすでにいろんな分野で応用され、各地で、独自の新しい「ゼン」の歩みが始まっている。
日本にも、まるで逆輸入かのように、スティーブ・ジョブズの仕事、セラピー、マインドフルネスなど、禅の思想や方法論を取り入れたと思われる考え方や技術が、いくつくも海外から伝わってきている。
しかしながら、重要なことは、海外での「ゼン」が、単なる技術としてではなく、智慧と慈悲に基づく本物の禅に育ってゆき、真の意味で根づくことにある。そのためにも「西欧ゼンの出発点」となった大拙のコロンビア大学セミナー講義の意義を、相応の経緯とともに再確認すべきであることは間違いない。p10同上
5)現在進行形の状態を認識することはなかなか難しい。ましてやこのような精神的運動を量的に、相対的に、客観的に評価、表現することはなかなか難しい。
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