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2018/03/03

「謎床: 思考が発酵する編集術」松岡正剛& ドミニク・チェン<1>

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「謎床: 思考が発酵する編集術」<1>
松岡 正剛 (著),‎  ドミニク・チェン (著), 2017/07 晶文社 単行本: 358ページ 
No.4161

1)いまや知の巨人とさえ評される松岡正剛オヤブンと、彗星のごとく登場したデジタル・ネイティブ的俊才ドミニク・チェン。どちらも、当ブログ注目のお二人だけに、この対談が面白くないわけがない。まずは手にとってパラパラと斜め読み。

2)セイゴオ親分については、これまで何回も揶揄的にメモしてきたので、当ブログと彼の千夜千冊的な世界観の差異は、ほぼ明確になっている。

3)しかし、ドミニクは、これからの急成長を望める人材だけに、いったいこの人どこまで伸びるんだ(伸びていってほしい)という好奇心で見つめることが多かった。

4)当ブログでは、パーソナル・コンピュータ、ソーシャル・ネットワーク、その次にくるべきコンシャス・シンギュラリティ(CS)という概念を視座に据えているので、そのCSに、この対談がどこまで迫って来るか、とても楽しみだ。

5)セイゴオ親分については、その編集工学というものの、もうすでに70年代に登場して以来、どこか硬直してしまっているものを感じるし、その商売センスゆえになせる技の俗性が、よくもわるくも、ある一定程度の距離を置かざるを得ない距離感というものがある。

6)ドミニク・チェンにしても、確かに新しいのだが、いつ失速するか、いつ保守化するか、いつ頓挫するか、と言ったマイナス要素からの好奇心がやや強くなりつつある最近であった。

7)つまり、最終的には、この二人では、当ブログはブレークスルーできないだろう、という読みが、正直今でもある。

8)謎床。なるほど、うまいタイトルである。二人の対談の結果、最終的にこのようなタイトルになっていったのは、よく理解できる。ドミニクは、他の著書でも、ITの次はバイオだ、というようなことを口走っており、漬物などについても言及していたことがあった。

9)この言葉のセンスは、セイゴオ親分にしても受け入れやすいであろうし、また、このお二人が接触しているがゆえに生まれたタイトルであるともいえる。「思考が発行する編集術」。まぁ、妥協の産物だろうが、当ブログとしては、このセンスは積極的に引き受けるものではない。

10)パラパラめくった限りにおいては、あちこち興味深い行が散見される。「シンギュラリティを迎える前にやっておくべき、いくつかのこと」なんてところは、まぁ、商売人のお二人の腕の見せどころであろう。

11)知識が問題なのでもなく、情報が問題なのでもなく、システムが、時代が、歴史が、そんなところが問題なのではないことは、最初から分かっている。要は人間なのだ。人間そのものなのだ。人間の意識。私という意識、私そのものが問題なのである。

12)だから、夜店の屋台のごとくキラキラと並べられたテーマひとつひとつに、謎めいた魅力があるだろうが、その全部を自宅に持ち帰る必要はない。私という意識にたどり着くべき材料が、一つでも見つかれば、それでいいのだ。

13)他の部分は、無駄になる可能性も十分ある。

14)「私」という漬物を「謎床」で発酵させて、だから、何?

<2>につづく

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